タイトル | 指輪の選んだ婚約者 | |
著 者 | 茉雪 ゆえ | |
イラスト | 鳥飼 やすゆき | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | アイリスNEO | |
出 版 社 | 一迅社 |
ある日突然婚約成立
「私は、この人を妻にする!」
刺繍をこよなく愛する伯爵令嬢アウローラ・エル・ラ=ポルタは、事情により一人で参加することになった夜会で、初対面の美しい青年と突然婚約することになる。
唐突な婚約から話が始まる「指輪の選んだ婚約者」。
それでは、レビュー開始。
指輪が選んだってソレですか?
タイトルにある”指輪が選んだ” の一文から、どんな選ばれ方をするのかと、ちょっと楽しみにしていたのですが、ちょっと意表をついた選ばれ方でしたよ、ええ。
主人公のアウローラは、兄いわく『刺繍狂い』。
ちょっとした空き時間や待ち時間、夕食後の団欒の時間も寝る前のひとときも、大抵刺繍を刺している。
適齢期ど真ん中の十八歳となり、未婚の貴族女性として縁談や見合いに取り組まねばならない状況で、
でも、お見合いって、丸一日が潰れちゃうから嫌なのよね
と、刺繍の時間が削られるのを惜しむ程。
そんな彼女が、兄・ルミノックスが病に倒れてエスコート役がいない状況でも独りで夜会に参加した理由は、参加者達の衣装に施された刺繍を見たいが為。
壁際で思う存分刺繍を満喫し、思いを馳せていた彼女に凄い勢いで吹っ飛んできて額に衝突したのは、金色の古い時代の婚姻指輪だった 。
主人公の額にあざになる程の勢いでぶち当たってきた指輪。
そして、突然主人公の前に現れた美青年。
「指輪が選んだのはこの人だ」
え、指輪が選ぶってこういう選び方なの!?
衝撃的でした。
氷の貴公子の評判と内面
突然アウローラが婚約することになったのは、フェリクス・イル・レ=クラヴィス。
精霊?古き森の民?
主人公が、月の精霊のようだと思った程の冴え冴えとした、硬質な美貌を持つ青年は、高位貴族の嫡男にして、王宮仕えの騎士、その上王太子の近衛隊員という将来有望なエリート。
宮仕えする男性陣の中でも五指に入ると評判の美貌は、王都の女性陣に、”氷の貴公子””月の騎士”と呼ばれる程。
何故、その彼が指輪が選んだ相手と結婚しようとしたのか。
「あの・・・クラヴィス様、ご容貌とご内面が噛み合わないと、言われたことはございません?」
「知り合って三日以内にほぼ十割の確率でそう言われる」
誰もが見惚れる美貌の青年の不器用さと真面目さ。
青年とは別の理由で非社交的な主人公と不器用な美貌の青年との偽装婚約譚。
アウローラとよく似ているが、彼女と違い『美しい』と称えられる女性的な面差しの美貌と体型を持ち身体が弱いアウローラの兄・ルミノックス。
クラヴィスの女嫌いの発端と思われる姉ルナ・マーレの苛烈な性格。
クラヴィスを敵視する華やかな美貌の近衛隊員ルーミス。
王太子の乳兄弟でクラヴィスの所属する近衛隊副隊長であり魔法騎士でもあるセンテンスの気の毒な恋愛遍歴。
強い魔力を持ち、魔術の研究家でもある王太子の含みのある言葉。
それらの面々に囲まれながら、(主にアウローラが)苦労して偽装婚約を継続していく様子やその中で披露されるアウローラの刺繍の腕前。
見どころはその辺でしょうか。
熱烈な恋愛物語というよりは、朴訥な氷の貴公子と切り抜ける困難というよりミッションの数々。
そんな雰囲気の物語でした。
一般的な貴族・騎士物語に加え、刺繍や魔術・魔法・魔石といった要素が絡むのも独特。
特に刺繍の描写は読んでいて楽しかったです。
■ブックデータ
タイトル:指輪の選んだ婚約者
著 者 茉雪 ゆえ イラスト 鳥飼 やすゆき 形 態 文庫 レーベル アイリスNEO 出 版 社 一迅社
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(星評価3.5)
・イメージキーワード
「婚約」「偽装」「魔法」「刺繍」「甘さ控えめ」「残念イケメン」
・読後の感想
「ヒーローの残念イケメンぶりと刺繍の描写が楽しい」
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