タイトル | 女相続人に求婚を 十九世紀の恋人たち | |
シリーズ | 十九世紀の恋人たち | |
原 題 | The Fortune Hunter | |
著 者 | 佐柄 きょうこ | |
原作者 | ニコラ・コーニック | |
形 態 | コミック | |
レーベル | ハーレクインコミックス | |
出 版 社 | ハーレクイン |
群がる遺産目当ての求婚者
リンドハースト少佐から届いたハウスパーティーへの招待状。
ヒーローであるピーター・クインライン子爵は、没落貴族の跡継ぎとして、リンドハースト少佐が後見する大金持ちの女相続人との結婚を企てる。
ヒーローが遺産目当ての求婚者であるにも関わらず、卑しさが全く感じられない「女相続人に求婚を」。
それでは、レビュー開始。
破産目前にした没落貴族の跡継ぎの義務
ピーター・クインラインは、父親に命じられて、ワーテルローの闘いで共に戦ったリンドハースト少佐から届いたハウスパーティーの招待を受ける。
目的は、名ばかりの爵位と引き換えに彼が後見する大金持ちの女性と結婚すること。
言っておくが花嫁には期待せんほうがいいぞ
おそらくすれっからしのオールドミスでとっくに処女ではないだろう・・・!
父親曰く散々な評判の女性だが、没落貴族の跡継ぎとして、花嫁への夢をとっくに捨てているピーターは、あっさり了承してハウスパーティーに向かう。
黒い噂の後見人と結婚したくない相続人
ハウスパーティーは、「別荘など屋敷に客を招いて一晩以上続くパーティー」とのこと。
泊りがけのパーティーに招かれる人間となると、相当親しい間柄かと思われるのですが、リンドハースト少佐とピーターとは、“ワーテルローの戦いで共に戦った”戦友。
死線を共にくぐり抜ける間にお互い信頼を築き上げたようで。
父親がリンドハースト少佐を“妻殺し”と揶揄するのに対して、根も葉もない噂だときっぱり否定。
そしてリンドハースト少佐は、ヒロイン・カサンドラに「会わせたい人物がいる」と言い、結婚相手として彼を紹介するつもりだとカサンドラに察知される状態。
リンドハースト少佐の信頼を勝ち得ているのは確実ですが、すぐにでも結婚出来るようにピーターは、カサンドラの名前が記載された特別結婚許可証を携えてハウスパーティーのリンドハースト・チェイスに訪れている訳ですよ。
堂々とした上品な男性のピーターですが、やっていることはお金目当てのゲスな行為です。
これ、ばれたら大問題になる気配がひしひしとする始まりです。
あれ・・・?何の問題もなし?
出会う前は、お互い最悪な印象だったにも関わらず(だからこそ?)、出会って早々にお互いにときめく二人。
木から落ちたカシー(カサンドラ)を介抱する内に、すっかり彼女を気に入ってしまったピーターは、財産目当てであることを明言しながらも、早々に求婚。
ハウスパーティーに招待はしたがカシ―を誘惑してもいいと言った覚えはないぞ—
彼女を迎えに来た後見人のリンドハースト少佐は、宿屋で二人がいちゃついているところを目撃して激怒する。
いや、つまりふしだらな行為をしている=女性の評判が地に落ちるの中世の貞節の話ですよ。
でも怒りながら屋敷についた途端、(責任を取って)婚約を進めるリンドハースト。
ピーターもびっくりする位の棚ぼた展開。
あれ?これ何の問題もなくなった・・・?
ということで、あっさり終わるかと思えば、そうはいかず。
お金目当てで結婚しようとしたにも関わらず、罪の意識に苛まれるピーター。
めちゃくちゃピーターに惹かれているにも関わらず結婚を跳ね除けようとして跳ね除けきれないカシー。
あれ、これ、ヒストリカルロマンスには珍しい“両片思い”の話ですよ!
見どころは、両片思いの二人が、いかに思いを通じさせるのか。
なんせ、口説くだけでなく特別結婚許可証まで用意してやってきたところが、ゲスな訳ですよ。
そこのところ、財産目当ての男性にうんざりしているカシーには許容できるのか?
そんなことまでしちゃった癖に、うじうじと後ろめたく思い悩むある意味高潔なヒーローは、その後ろ暗い気持ちをどうやって乗り越えられるのか?というところでしょうか。
シリーズ3部作の1作目です
こちらの作品、「十九世紀の恋人たち」の3部作の1作目となります。
ハウスパーティーに集った人々の中にいる3組のカップルの恋愛模様が描かれる訳ですが、それぞれ同じタイミングで物語が進んでいるので、それぞれの作品にそれぞれの主人公たちが存在していて面白いです。
3作品共、原作は異なる作家の方が書いているせいか、お話の雰囲気も全く違うのも面白かったです。
■ブックデータ
タイトル:女相続人に求婚を 十九世紀の恋人たち
著 者 佐柄 きょうこ 原 作 者 ニコラ・コーニック 原 題 The Fortune Hunter 形 態 コミック レーベル ハーレクインコミックス 出 版 社 ハーレクイン
【管理人評価】
・満足度 ★★★★☆(星3.5)
・イメージキーワード
「遺産相続」「政略結婚」「両片思い」「ヒストリカルロマンス」
・読後の感想
「財産目当てにも関わらず高貴な印象のヒーロー」
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【余談】
ハーレクィンのコミカライズ作家の佐柄きょうこさん。
まつ毛バサバサ・分厚い唇と癖がある絵柄なのですが、違和感ないストーリー展開と感情移入出来る描写が素晴らしい作家さんだと思います。
ハーレクィンのコミックは、分厚い小説をだいぶコンパクトにまとめられた形となるので、違和感なくストーリーを展開するには、ある種のスキルが必要とされるようで。
管理人にとって、数多くいるハーレクインのコミカライズ作家の方々の中で、安心して作品を購入出来る作家さんの一人です。
絵柄が気になって仕方ないという人はいるかもしれませんが、慣れちゃうと全然違和感がなくなるから不思議です。