タイトル | マイ・フェア・ネイバー | |
著 者 | 森野萌 | |
形 態 | コミック | |
レーベル | デザートコミックス | |
出 版 社 | 講談社 |
28歳会社員のお隣は
28歳会社員と1ヶ月前に隣に引っ越して来た女子高生が共有する10年前の思い出とは。
寂しさと優しさと切なさと そんなものが詰まった物語「マイ・フェア・ネイバー」。
それではレビュー開始。
二人の間に横たわる10年前の思い出
28歳の佐久良行成(さくら ゆきなり)ことユキが10年前の夢を見るシーンから始まる「マイ・フェア・ネイバー」。
それは、彼が高校生の頃、隣に住んでいた子どもで10年前にある事故をきっかけに引っ越していった萩原モモ(はぎわら もも)が、高校に通うため、単身出戻ってきたから。
彼女は、合鍵を見つけ出して勝手に部屋に入り込んだり、朝食やお弁当を作ったりとユキにまとわりつく。
思春期のどうしようもない状況に対するやるせない思いと寂しさと。
高校生のユキと幼いモモが交わすベランダ越しの会話。
そして起きた10年前の事故とは 。
おまえがユキちゃんユキちゃんってひよこみてーについてまわるから
過去のモモについて語るユキの言葉ですが、現在のモモもまさにひよこ状態。
無邪気というか一生懸命ユキに近付く姿は可愛らしく、キュンとするような恋愛物語なのかと思いきや。
モモが時折見せる強張った表情の意味とは。
ユキが見抜いたモモの中の不安とは 。
ナニコノ雰囲気ある物語!
一話目(春の章)から、完全に引き込まれました。
悪人などいない世界
高校生の頃、ユキが父親と関係を破綻させたように、高校生になったユキも学歴主義で厳しい母親に畏怖してうまく関係を築けなくなっています。
優しく純粋なモモが嫌い母親の嫌な部分。
思春期の頃のとがった気持ちを思い出します。
が。
絶対好きになれない母親をこう描くとは!
無邪気にユキを慕うモモ。
そんなユキが好きな同級生・井河(いがわ)君。
寂しさを懐深く抱えたユキ。
ユキの職場の面々。
誰も彼も優しくて、悪人などいない!とばかりの優しい世界観・・・大好きです。
二人の関係は、恋愛というよりは、もっと根本的な優しいイメージ。
特にユキ視点のモモに対する思いにほろりとします。
恋じゃない
(略)「好き」よりよっぽど厄介な気持ち
人は人との些細な出来事・やり取りで簡単に救われたり癒されたりするんだなぁ。
そんな感想を持つ物語でした。
収録話
モモが引っ越してきて過去の事故を思い出す「春の章」。
もうこの1話だけで完璧に物語が成立しているといえる程の良いお話。
モモが一人暮らしを始めることになった理由。モモと母親の関係が描かれる「夏の章」。
モモとユキが地域の運動会に一緒に参加する「秋の章」。
いやもう恋愛というよりお家族状態ですね?という二人の関係とユキが大好きな井河君が可愛過ぎ。
ユキの父親の現在と明らかになる10年前の事故の日のユキの絶望。
二人の関係の方向性に決着がつく「冬の章(前・後編)」。
春夏秋冬を一緒に過ごして、異動により部屋を後にするユキ。
その1年で二人の関係は変わるのか。
見どころはそこでしょう。
ユキの絶望や孤独。
純粋なだけでないモモのずるさ。
ゆったりと時間が流れるようなユキの思いが語られる過去のシーン。
べた甘恋愛物というよりはもうこれは家族愛?
この作品の持つ印象的な”間”や”雰囲気” がたまらなく好きです。
■ブックデータ
タイトル:マイ・フェア・ネイバー
著 者 森野萌 形 態 コミック レーベル デザートコミックス 出 版 社 講談社
【管理人評価】
・満足度 ★★★★★(大満足!)
・イメージキーワード
「切ない」「癒し」「救い」「思い出」「年の差」「泣ける」「家族」
・読後の感想
「ほろりとするような切なくて優しい話・・・大好き!」
【購入可能サイト】
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【余談】
章の間や本編後に描かれる四コマがいい味出してます!
ユキがモモに作ったデコ弁とそれに対するモモの感想とか、ユキ視点のモモ母とか井河君のひよこぶりとか。
この作家さん、本当管理人好みのツボにはまります。