チョコレイトジャンキー 1 (マーガレットコミックス) - 中年東子のRなブックレビュー《少女マンガ》

これは、少女マンガな筈なんだが。

思わずそう呟きたくなったのは「チョコレイトジャンキー」。

地味で暗くブスな主人公は、5年ぶりに悪魔のような男と再会する。
他にはない読了感。
これは、少女マンガ。
甘くときめく恋愛が描かれている筈なんだけど。

それでは、レビュー開始。

主人公の奥千代子（おくちよこ）は暗く地味でブスな23歳の女の子。（子？）

子どもの頃から苛められ、何かが劇的に変わるかと思って青森から状況してみて早5年。
何一つ変わらぬ毎日を送っている。

コンビニで一緒に働く女の子達には陰口を叩かれ、道を歩けば強面の人にぶつかり怒鳴られよろけた瞬間に自転車に跳ね飛ばされるという不幸具合。

何だろう、少女マンガってときめきを与えてくれるものじゃないんでしょうか。
地味で暗くダサい主人公。
別に、途中で変身して美しくなる訳でもなく　　。

それでも、そんな不幸を笑い飛ばしてくれるコンビで芸人を目指す熊ちゃんや鴨ちゃん。
そしてクイーンをリスペクトするオールバックな居酒屋店長（ゲイ）。

何だかんだ言っても楽しそうですね・・・という状況で、『2度と会いたくない人』喜多川葵（きたがわあおい）と再会することによって物語は急展開していく。

千代子が『2度と会いたくない』と願っていた喜多川葵（きたがわあおい）は、千代子が小学校の時に東京から転校してきた男の子。

王子様のような『東京のイケメン』である彼は、みんなに囲まれて苛められていた千代子を見てこう叫んだ。

「やめろっ、いじめてんじゃねえよっ」
「そいつをいじめていいのはこのオレ様だけだ！！」

それ以来、使い走りにさせられるは苛め抜かれた、小・中・高校の8年間。
地元の大学に行くという彼に、バレないようにごまかした千代子は、東京の大学に行くことによって葵から逃げおおせたのだが　　。

「よくも逃げやがったな」

悪夢な男に虐げられる日々から千代子は逃げられるのか？

青森から千代子を追いかけて東京までやってきた喜多川葵。
普通ならそこで何だかんだと甘い関係になるのが少女マンガというものだと思うのですが。

うう、痛い。
痛いよ、胸が・・・。

彼女の不幸っぷりと二人のやり取り。
甘さなんて欠片もありません。

主人公がどブスという設定自体にときめきもないのですが、この喜多川葵の鬼畜っぷりがもう真性のドS。

ときめくシーンかと思えばぐさりと胸を刺されるような鬼畜エピソードが積み重なり・・・痛い・・・心が痛いよ・・・。

虐げられる主人公のいたたまれない思いを追体験。
うん、読んでいてこんな気持ちになったこと初めてかも。
それ程主人公を取り巻く状況は、悲惨。

どんなに虐げられても悲惨な目に合っても、結局千代子は葵のことが好きらしい。

が、しかし。

これ、どう見ても二人が幸せになるパターンが想像出来ないんですけど。
フレンドリーな葵の姉とか、昔の千代子と葵を彷彿とさせる高校生達やその兄だとか、ブス家族の中で実はモテ系な千代子の弟とか、個性的な人物が出てきてそれはそれで印象的なのですが、もう本当不幸が痛い・・・。

が、しかし。

全3巻の「チョコレイトジャンキー」は3巻の後半にして急展開を見せます。
明らかになる葵の気持ちと過去の出来事。

あれ、何だろう葵視点でも胸が痛いよ・・・。

そして衝撃の決着。

真っ直ぐ投げた紙飛行機が、急転回してあらぬ方向に飛んでいった。
そんな印象さえ受けるラスト。

最初から最後まで、胸締め付けられるような、恋愛の甘さとはあまりにかけ離れた場所で広げられるストーリー。

この痛みが癖になる人は・・・いるかもしれない。

タイトル:チョコレイト ジャンキー 1

著　 者　 筒井旭
形　  態　コミック
レーベル　マーガレットコミックス
出 版 社　集英社

【管理人評価】
　・満足度　★★★☆☆（星3.0評価）
　・イメージキーワード 
　　「いじめ」「不幸体質」「ブス」「ドS」「鬼畜」
　・読後の感想
　　「色々な意味で胸が痛い＆ラストが唐突な印象の物語でした」

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