自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。 (レジーナCOMICS) - 中年東子のRなブックレビュー《少女マンガ》

癖あり王太子の婚約者観察

異世界転生したバーティア8歳は、婚約者となった王太子セシル10歳を前に高らかに宣言する。

私は悪役令嬢ですの！！

ちょっとおバカで猪突猛進な婚約者を生温かい目で~~面白がる~~見守る王太子視点の物語「自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。」。

それでは、レビュー開始。

宰相の一人娘・バーティアと婚約した王太子セシルは、その顔合わせの席で、婚約者から訳が分からないことを聞かされる。

彼女は異世界からの転生者で、この世界を描いた「乙女ゲーム」によって未来の「シナリオ」を知っているのだと。

そして、セシルが運命の乙女と出会い幸せになる為に自分がギャフンとされる必要があるのだと。

この時点でギャフンされることをあっさり受け入れて、一流の惡の華になると高らかに宣言するヒロイン。
そこは、普通、自分が不幸にならないように努力するのが王道ではないでしょうか。

そう、このヒロイン。おバカヒロインなのです。
父親に

娘は実は（馬鹿という）不治の病でして

と言われる程に。

あくまでもヒーローである王太子視点の物語なので、バーティアの気持ちは描写されていないのですが、このおバカで猪突猛進なキャラクター、めちゃくちゃ可愛いです。

訳の分からないことを言い放ち、王太子を指さして宣言するという“王太子の婚約者”としてのマナーも怪しいバーティアを「面白いね」の一言で観察することを決意する王太子。

この王太子もかなりの曲者でして。
いつも笑顔で優れた容姿と天才としても名高い万能王太子。

だけど、宰相であるバーティアの父からは

可愛いものを愛でる感情など持ち合わせていない冷たいお方

専属の侍従からは

子供らしさを王妃様のお腹の中に忘れてこられた

と言われる程の一癖も二癖もある性格の持ち主。

ヒロイン・バーティアの荒唐無稽な言動（特に異世界者視点）も面白いのですが、バーティアの唐突で意味不明な言動を受け流し、時に策略を巡らして難なく問題を乗り越えていく王太子無双もこの物語の魅力ではないでしょうか。

婚約から社交界デビューまでの子供時代の後、メインは乙女ゲームの舞台である学園生活に。

突発的なバーティアの言動に動揺しつつ顔に出さずにうまくことを収める等のシーンはあれど、基本、セシルにとってバーティアは、予測つかない面白いおもちゃ扱いな訳ですよ。

おバカなヒロインを生温かい目で見守り、彼女がもたらす混乱をその才能をもって解決していく。

うん、甘くない。
ゲームをこなす面白さ、楽しさは伝わってくるのですが、この二人の立ち位置が全然違う（王太子の目線がはるかに高い）。

そして、バーティアが目指すのは、王太子セシルと学園に現れるヒロインの幸福。

あれ、ラブラブになる要素ってある？

・・・と思ったのですが。
セシルが自分の気持ちの変化に気付いていく経緯。
バーティアが、自分が不幸になるにも関わらず悪役令嬢としてざまぁ！されることを目指す理由。

・・・私は私が思っていた以上に最悪な人間だね

徐々に明らかになっていく事実や乙女ゲームの“ルート”に、盛り上がりました！

違いすぎる二人だけど、お似合いな二人です。

タイトル:自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。

著　　者　 蓮見ナツメ
原 作 者　しき
形　  態　コミック
レーベル　レジーナCOMICS
出 版 社　アルファポリス

【管理人評価】
　・満足度　★★★★★（満足！）
　・イメージキーワード 
　　「異世界転生」「悪役令嬢」「ヒーロー視点」「乙女ゲーム」
　・読後の感想
　　「想像していたより盛り上がるシーンがたくさん！」

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【余談】

元々はWeb小説発。小説版のコミカライズになります。
コミックを読むとついつい原作の小説版も読みたくなるのは、私だけではない・・・筈。