【雑記帳】シリーズ物には旬がある~中年東子の書籍考察~



あの作品が完結したんだって!の後の絶望を知ってる?

一時期大好きだったあの作品が、完結前に続編が刊行されなくて何年経っただろう   。

子どもの頃からの読書好き。そして中高年以降も読書を愛する人ならば、一度や二度は体験しただろう出来事。

そう、大好きなシリーズ作品の『続編が出ない』問題。

もう二度と出ないのでは・・・とさえ思っていた作品が、いつの間にか続刊・完結していることに気付き喜んだのも束の間。

まさか、そんな問題が!?という出来事についての一筆。

「アルスラーン」が完結したんだって!

タイトル天涯無限 アルスラーン戦記 16 (カッパ・ノベルス)
著 者田中芳樹
形  態単行本(ソフトカバー)
レーベルカッパノベルス
出 版 社光文社

とある休日、面白い本はないかなぁと某書籍サイトを閲覧していた東子の目に入ってきたのは、「アルスラーン戦記」の最終巻。

そういえば、最終巻より一つ前の巻が出る時に、大騒ぎになっていた気がする。

某主要人物のあんまりな死に様と、最終巻刊行が決まっているってことと、何だかばったばったと主要人物が死んでいく救いがないラストが待っていそうという話。

物悲しい・暗い結末が大嫌いなので、ちょっと手を出すのを控えている内に、時間が経っていた。

まあ、第二部始まって長々と間が空いて再開した時も購入していなかったから、だいぶ前で止まっているんだよなぁ・・・。

アルスラーンといえば、中高生の頃、友人と貸し借りをして盛り上がった物語。
作者の田中芳樹さんの作品としては、銀英伝の方が有名で、高校の図書館に並んでいたものの赤い人の衝撃な場面を読んで以来、悲しくて読了できなくなってしまった経験あり。

まあ、最近マンガ化・アニメ化されたから、完結させるなら今なんでしょう。

そう思いつつ口コミを読めば・・・あれ、何だか凄い酷評の嵐。
3桁の口コミ数と圧倒的な☆の少なさに驚く。

どうやら大雑把にまとめると酷評している人達の意見は大きく3つらしい。

① 登場人物皆殺し
② 伏線が回収されていない
③ まるであらすじのような描写

①は、まあ作家の作風といえば納得出来る部分ではあるんですが、②は過去ちょっと意味がありそうな描写で出てきた登場人物が何の意味もなかったり、殺されるにしてもあまりにあっさりと短い文章で終わらされたり。

作品が大好きだった人程、怒りを感じている様子。

うーん・・・これは、あれですよね。

シリーズが進んでいく内に、何故かぱたりと続きが出なくなる作家さん、結構いらっしゃいます。
きっかけはスランプや出版社の事情等々色々あるとは思うのですが、何年も間が空いてしまうと作家の方の意欲も失われてしまうのではないのでしょうか。

その時にしか書けないものってあると思うんですよ。
音楽だって5~6年経てば、がらっと流行っているものが変わったりするじゃないですか。
そういうその時代の空気だから受け入れられるもの、その時代の空気の中だからこそ書けるものってあると思うんです。

シリーズのファンは、その世界感が好きなのにその世界を構築する為に必要だったものが、長い時間の間に作家の中から失われていた。
それは、価値観だったり、意欲だったり、そのキャラクターへの愛情、または集中力といったものかもしれません。

長い中断から、良い形に終わったものはそんなにないかもしれない。
そう思い始めると、中々続きが出ない某小説や某マンガなどなどの行く末について、心配になってくるのでした。

何が言いたいかっていうと

今勢いがある若手作家の方。
作品を生み出すのが楽しくて仕方がないという方に言いたい。

大人の事情、もしくはスランプで書けなくなって作品を中断することになっても、放置はダメですよ。

せめて、他の作品の合間の気分転換にでも書きたいと思ったシーンだけでも書いておいてほしい。

あらすじだけ考えていても、いざ書けるとなった時にその世界感を再現出来なくなってしまっている可能性があるから。

長い間生きていると、不幸な形で終わる作品に遭遇することも重なり、哀しい気分になります。

うん、アルスラーンは一部(7作目:王都奪還)で終わったと思うことにして、続きには手を出さないようにしよう。

【余談】

タイトルアルスラーン戦記7王都奪還
著 者田中芳樹
形  態文庫
レーベルらいとすたっふ文庫
出 版 社らいとすたっふ

何故か田中芳樹さんの小説の電子書籍版は、出版社が出しておらず版権の関係か美麗な挿絵がないのが残念

終わり悪ければ全て悪し・・・となる筈もなく、酷評されている方々も総じて7作目までは秀作だと認めているようです。
(むしろそのままの勢いで書いて欲しかったという作品愛の裏返しによる酷評なので、それも当然といえば当然)

マンガやアニメ化などメディアミクス化されている作品が、駄作な訳ないですよね。
ということで、最終巻の酷評に恐れおののいて「アルスラーン戦記」を読まないのは、勿体無いです。

これから読もうという人、読んだことのない人に向かって声を大にしてお伝えしたい。

「王都奪還」まで読むべし!

中だるみもなく、話も綺麗にまとまっている。
そこで完結したといわれても違和感がない締め方で、満足感があります。
そう、ああ面白かったなぁ!続きが読みたい!この世界はどうなったの!?
そんな余韻が残る良い切れ目なのです。