タイトル | 花嫁はもう一度恋をする | |
著 者 | 火崎 勇 | |
イラスト | 相葉 キョウ | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 講談社X文庫 | |
出 版 社 | 講談社 |
目が覚めたら異国の地
リエナ国の第二王女・ユリアナは目覚めると見知らぬ男性に襲い掛かられて悲鳴を上げた。
見知った人間は一人の侍女のみ。
5年の月日が経ち、見知らぬ相手と結婚し、半年が過ぎているという 。
記憶喪失モノの中でも、主人公を取り巻く環境が激変している「花嫁はもう一度恋をする」。
それでは、レビュー開始。
ちょっとしたサスペンス
「私はカルドナの王、オーギュスト。お前の夫だ。」
目覚めた瞬間に、襲ってきたと勘違いした相手は、異国カルドナの王だと告げられる。
寝室に集う人々の中、主人公ユリアナの記憶にあるのは侍女のエミーのみ。
記憶を失った間に、王と出会い結婚し、大変仲睦まじい関係だったとエミーは言う。
目覚めたら異国というのが、まず凄いですね。
大人の女性から16歳の少女に逆戻りした主人公にとって、カルドナは名前を聞いたことがある程度の国。
夫である王とは面識すらない。
記憶を失ったのは、西の小塔から落ちたから。
その夜、王は外出し、ユリアナは夕食後に一人になりたいと侍女を下げたという。
そして、夜中、塔の下の植え込みに引っ掛かっているところを発見された。
何故、彼女は一人で塔に行き、落ちたのか。
ちょっとしたサスペンスのような展開ですね。
横暴な王
結婚の記憶もなく夜の営みも知らぬ16歳に戻ったユリアナは、だがしかし目覚めたその夜に強引に王に抱かれてしまう。
謝罪の言葉もなく、翌朝にはベッドにさえいなかった王に、ユリアナはショックを受ける。
「何かの理由で忘れたふりをしているということはないのか?」
理由は王のユリアナに対する疑いから。
しかし、それにしても・・・な態度だと思うのですよ。
全てが明らかになっても、ちょっと納得がいかない部分ではあります。
王様、押しまくる
主人公の記憶喪失を納得してからの王様の気遣いというかアピールは凄いです。
序盤、決定的な亀裂を走らせる行為さえなければ、普通にべた甘な関係になれたんじゃないかと思う位。
そしてエロい。
「これだけは覚えておくといい。
愛した女を前に触れずにいることは男にとって苦痛に等しいものだと。
特に、その身体を知り尽くした後では」
全然引く気ないですよ。
もう、ぐいぐい来ます。
周囲が語る記憶のくい違い
主人公の記憶、なかなか戻りません。
頭の中を過ぎる主語がはっきりしない声が語る内容は、真実を明らかにするには程遠く。
何を語られてもぴんと来ない主人公。
個人的には、婚約前の二人のやり取りエピソードが一番好きです。
ユリアナ可愛いですよ。
記憶を失ったとはいえ、既に結婚して夫婦になっている主人公。
だから恋よりも愛に比重を置いて描かれているんですよね。
結婚してからの物語である今作。
結婚するまでの物語も読みたいと思いました。
■ブックデータ
タイトル:花嫁はもう一度恋をする
著 者 火崎 勇 イラスト 相葉 キョウ 形 態 文庫 レーベル 講談社X文庫 出 版 社 講談社
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(星3.5評価)
・イメージキーワード
「記憶喪失」「婚姻」「お姫様」「異国」
・読後の感想
「序盤の王様の行為がなければ星4つ評価だったかな。」
【購入可能サイト】
・Amazon
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【余談】
このレビュー記事を書いていて気付いたのですが、このレーベル「講談社X文庫」ですよ!
講談社X文庫といえば、中高年な管理人にとっては、十二国記シリーズなどの”ライトノベル(少女小説)” レーベルなのです。
ええ、だからエロ要素なしなレーベルの印象だったので、衝撃を受けました。
がっつりエロ描写有のTL小説だし!
いや、この作品がどうというよりも、この作品がX文庫から出されたことが衝撃でして。
時代と共に、作品の傾向も変化してきたのでしょう。
R系小説・コミックレビューサイトを作っている癖に、エロなし《ライトノベル(少女小説)》 な分野も好きな管理人としては、ちょっと複雑です・・・。
Hな行為がなくても心理描写が豊かならば満足なのです。
少女小説・・・頑張って欲しいな。