CHERRY (ディアプラス文庫)


タイトルCHERRY
著  者月村奎
イラスト木下けい子
形  態文庫
レーベルディアプラス文庫
出 版 社新書館

顔よし・スタイルよし・家柄よしの完璧大学生。
誰もがあこがれる完璧王子でも人には言えぬ苦労がある訳で。

主人公がツンデレ・・・というより本気で性格悪くないか?
視点を変えれば印象も変わるのが「CHERRY」

それではレビュー開始

プライドが高すぎる

主人公の岩佐直希(いわさなおき)ほとんど口にせずパスタを友人に丸投げ。
その理由がサンプルにはなかったマッシュルームが入っていたから。
でも子供っぽい好き嫌いがあることを他人に知られることを許せない。

そんな大学のカフェテリアでの食事シーンから始まるのが「CHERRY」

同じ語学クラスの女子が質問しにやってくれば、電話がかかってきた振りをしてその場を立ち去り、陰で必死に調べ物をしてから何食わぬ顔で説明。

いやぁ、見事に猫っかぶりというかプライドが高いというか。
実際に完璧ではないのに完璧を装う為に努力する。
何だか必死で可愛いなと親近感がわきますね。

そうなんだよね、若い頃って自分の無様なところを見られたくないとか、必要以上に力が入っていたような気が。

でも、でもですよ。
・・・ちょっと度が過ぎてないか?

非の打ち所がない自分を意識していて、女の子の熱い視線や男の子からのやっかみを自尊心を満たしてくれて楽しいとさえ思っているオレサマ感覚はあるあるな印象。

だけど、なんていうかこの主人公。
顔良し・家柄良し・成績も良しの3拍子揃っているのに、口が恐ろしい程悪い。

裏の顔、ばれる

ちなみにタイトルの「CHERRY」はあれの意味ですよ。
CHERRY BOYってことですね。

プライドが高くてHを失敗して以来、未だに女性とそういう関係になったことがないという主人公。

そんな主人公がCHERRY脱却を目論見、狙っていた女の子大島南(おおしまみなみ)が憧れているのが文学部准教授の阿倍壮介(あべそうすけ)34歳。

色々とせこい思惑をめぐらせて狙っていた彼女が自分ではなく他の男を好きだという。
それだけでも気にくわないのに、よりによって主人公が必死に裏の顔を隠しているところを目撃されてしまう。

視点を変えてみると結構酷い

まあ、裏の顔がバレてもオレサマ男子な主人公は決して弱気になることなくオレサマな訳ですが。

そんなツンツンした態度を受け流す阿倍先生は、本当大人。
気を張っていたのが甘やかされてラブラブに・・・という流れは主人公の立場から見たら結構おいしいシチュエーションなんですが、レビューを書こうと読み直して思うこと。

主人公、かなり酷いよ。

阿倍先生だけでなく周囲の友達に対してもツンツンなんて可愛いレベルじゃない気がするんです。

言葉が刃のようです・・・。

これ、イケメンでなければ本当下衆呼ばわりされるレベルですよ。
というか、普通“もてる者”ってゆとりがあるもので、こんなにギスギスした雰囲気醸し出さないと思うのですが。

これを受け流しちゃう阿倍先生、懐が広いってもんじゃないです。
いくら、下心を隠していたとしても。

ということで、主人公目線か否かで衝撃的な程主人公に対する印象が変わる作品だと思います。

本当、傍若無人な若さって罪・・・。

序盤の流れだけをみると、どこがどうして恋人同士になるのか、さっぱりわからないこの作品。
ツンデレ好きにお勧めしたいです。

■ブックデータ

タイトル:CHERRY
著  者  月村奎
イラスト 木下けい子
形   態 文庫
レーベル ディアプラス文庫
出 版 社 新書館
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★☆☆(再読すると印象変わるけどね!)
 ・イメージキーワード 
  「俺様」「年の差」「ツンデレ」「イケメン」
 ・読後の感想
  「大人な彼氏に甘やかされたい」

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