タイトル | お兄ちゃんのお嫁入り | |
著 者 | 間之あまの | |
イラスト | 花小蒔朔衣 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 幻冬舎ルチル文庫 | |
出 版 社 | 幻冬舎 |
育ちがよく性格も良いというのは
よく世間で言われることですが。
結局、性格の良さって生まれ育った環境から生じるものもあると思うんです。
そんなことを考えたのは、「お兄ちゃんのお嫁入り」
(いつもありがたいなぁ・・・)
夕方のスーパーでのアルバイトシーンから始まる「お兄ちゃんのお嫁入り」
わずか数ページで、アルバイトに誠実に取り組む主人公と店長やパートのおばちゃん達に愛されている状況が分かります。
うん、おばちゃん達にとってすれていない若い子はアイドルなんだよね。
気前良く見切り品やら試作品を主人公に差し出すおばちゃん達。
あれ?
そこから気付く人は気付くでしょう。
生鮮食品やお菓子、お惣菜をもらって喜ぶ男子高校生って・・・?
徐々に明かされる主人公の境遇
主人公川原里緒(かわはらりお)は、今年の3月まで私立の中高一貫校の高等部に通っていた男の子。
3年生に上がる時に家計的な事情から進級せずにスーパーで働き始めて半年という状況。
何故、そんな状況になったのか?
その事情は早々に、パートのおばちゃんの世間話で明かされるのですが。
突然恵まれていた日常から放り出されてもやさぐれない。
元いた環境を切なく思っても
(そんなのもう無理な話なんだから、考えない・・・!)
いやもう本当、素直ですれていない性格にじみ出てますね。
年の離れた弟妹が可愛いんです
主人公がお世話をしている2人の弟妹。
わがままざかりな三歳の弟、礼央(れお)。
気の強い弟に空気を読んで一生懸命我慢するのが五歳の妹・留奈(るな)。
高校生の主人公の弟妹にしては、随分年が離れているなぁ・・・という状況ですが、だからこそ主人公が世話をしなければいけない環境。
高校生が子育てしているようなものです。
いや、普通無理だって。
高校生時代なんて、一番自分の好き勝手にしたい年頃じゃないですか?
それを幼い弟のわがままをいなしつつ、大人しい妹をフォローしつつ食事や保育園の送り迎え。
何て母親?何て癒し系・尽くし系男子なんでしょう。
でも、主人公が自然にそういうことが出来てしまうのは、それだけ亡くなった母親に愛情深く育てられたという証のような気がします。
うん、愛情って受け継がれるものなんだなと。
とんでもない状況でとんでもない人間と出会う
「いやいや、いいですねぇ。困り顔がよく似合う可愛いお坊ちゃんと、お兄ちゃんの陰に隠れているいたいけな妹さんと弟さん、ええ、これはなかなかいいですよ」
父親によって、よく分からないままよく分からない環境に置かれてしまう主人公。
そこで出会ったのは、
険しく寄った眉、鋭い目つき、無精ひげ、片足に体重をかけた気だるげな立ち方、シャツまで濃い色のダークスーツ―どう見ても、堅気の人じゃない
やたら迫力のある男、八束宗匠(やつかむねまさ)
「自分の状況を客観的に判断できないやつが、泥沼から抜け出せなくなるんだぜ」
主人公が知らずに巻き込まれたのは何なのか?
コワモテ男・八束宗匠の意外な職業とは?
恋愛というよりは、どこまでも誠実ですれていない主人公に『幸せになってー!』とこぶしを握りながらエールを送る。
そんなお話でした。
■ブックデータ
タイトル:お兄ちゃんのお嫁入り
著 者 間之あまの イラスト 花小蒔朔衣 形 態 文庫 レーベル 幻冬舎ルチル文庫 出 版 社 幻冬舎
【管理人評価】
・満足度 ★★★★☆(幸せな気持ちになれる読後感)
・イメージキーワード
「優しい話」「年の差」「子育て」「エロい」「癒し」「尽くし系」
・読後の感想
「つらい時に頼れるオッサンが登場したら、そりゃ惚れる」
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