幾億万の歳の差も (カクテルキスノベルス)


タイトル幾億万の歳の差も
著  者花川戸菖蒲
イラスト山田シロ
形  態文庫
レーベルカクテルキスノベルス
出 版 社ジュリアンパブリッシング

コレはない・・・呟きながら読み進む

ところどころ気になるというか違和感の為、感情移入しきれずに読み終えた「幾億万の歳の差も」。

孤独な主人公が大学で出会った男とは  

それではレビュー開始。

桜と語り合う主人公

BL小説お決まりのエロシーン後、物語は主人公が桜と語りかけるシーンから始まる「幾億万の歳の差も」。

美貌の主人公・行平祥(ゆきひら さち)は、大学の入学式の日に飄々とした男・深山つかさ(みやま つかさ)と出会う。

物語早々のこの出会いのシーンで、管理人引きました。

「わかりませんッス。大学に入ったばかりだしじゃん、これからなにをするべきか、考えるところですッス」

主人公の日本語、おかしいにも程がある。

「ちょっと、何語なの、それ~?ウケる~っ」
「な、何語って、日本語ですじゃん!失礼じゃないですかッスカっ」

中高の6年間、寮住まいだったという祥。

若者言葉のネィティブスピーカーだらけという環境で、それを六年間、みっちりと聞き続けてきた。

という設定だそうですが。
いやいや、例え自分が若者言葉を話すのが不慣れといっても研究を続けて、ましてや6年間も聞き続けた若者言葉がコレ!?と愕然とせずにはいられないです。

6年間ですよ、6年間。

例えば関東住みな自分が大阪に6年間住んだとして。
自分が大阪弁を話すことがなくても、なんちゃって大阪弁を聞けばそれとなく気付く程度には慣れると思うのですよ。

『すかッスカっ』という語尾をつけて違和感を覚えないとしたら、主人公の言語能力は相当低いと思わざるを得ない(辛口)。

これが、今までずっと海外にいましたとか辺鄙な山奥に一人でこもってましたというならまだ分かるんですけど。

この豪快な間違い、ありえなさ過ぎて引いてしまいました。
しかも、変と言われてるのに変じゃないと言い張るところがもう・・・。

深山が『若者言葉を真似したつもりのオヤジの喋り』と評してますが、いやいやオヤジでもそんなおかしな喋り方しないわ・・・と。

孤独な主人公の前に現れた頼れる人

辛口になるその理由その2。

多分、主人公の前に現れた深山というキャラが好きじゃないんです。
飄々とした様子で大学や人付き合いに不慣れな祥に近づき親しくする深山。

「なんて~」
「じゃないの~」
「そうねぇ~」

やたら間延びした口調にイラっとするのは、多分管理人の個人的な好き嫌いですが。

祥の少し変なところを含めて優しく見守る深山。
家庭の事情もあって覇気のない諦念に満ちた祥のいる世界を悲しそうにため息をこぼしながら見つめている彼の正体は  

「・・・俺としたことが、どこで間違えたんだろう・・・」

深山の正体と豹変

見どころは、やはり祥に近づき見守る深山の正体ではないでしょうか。

後半、正体を現した深山の態度は、言葉遣いからして別人。
へらっへらして祥の言葉にぷくくく笑っていたきもいチャラい大学生の姿、どこいった。

まあ、お殿様状態に豹変した姿の方が、読んでいて落ち着くのですが、祥のささいな一言で逆上するシーンなどに違和感が。

大学では、あんなに大らかにぷくくく笑っていた男が、ほんのささいな一言で逆上するとは一体・・・。

うーん、この違和感、この気持ち悪さは何だろう。
BLを読んでいたら実は妖怪話だった。
そんな感じに近い感覚を覚えました。

どこかぞっとするのも気持ち悪いのも深山が人外だからということで。
この気持ち悪さは病み系とかDV系の話を読んだ時にも感じるのですが、やっぱり日本の妖怪・あやかし物語を読んだ時の感覚に近いように思えます。

それにしても、主人公・祥の美人設定は最初のさわりだけで、全く美人っぽくなかったなぁと思うのでした。
むしろ美人設定、いらなかったんじゃ・・・。

■ブックデータ

タイトル: 幾億万の歳の差も
著  者  花川戸菖蒲
イラスト  山田シロ
形   態 文庫
レーベル カクテルキスノベルス
出 版 社 ジュリアンパブリッシング
【管理人評価】
 ・満足度 ★★☆☆☆(話に入り込めず)
 ・イメージキーワード 
  「薄幸」「人外」「孤独」「学生生活」「守護者」
 ・読後の感想
  「あの語尾はない!あの語尾はないよ!」

【購入可能サイト】
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【余談】

妖怪の話を聞いてぞっとする・・・で思い出すのは「崖の上のポニョ」。

ポニョがむにんっと人型から妖怪に変化していくシーン。
鶏のような足になったシーンを見て、ぞっとしたのは管理人だけでしょうか。

(ソースケいいのか、その年で彼女と婚約して・・・思いっきり人外だぞ?)

思わずソースケの生末を案じたのを思い出しました。