眠れる王子と約束の姫 (乙女ジュリエットノベル)

タイトル眠れる王子と約束の姫
著  者芹名 りせ
イラスト天野 ちぎり
形  態文庫
レーベル乙女ジュリエットノベル
出 版 社ハーパーコリンズ・ジャパン

「いつかぼくのところにも、王子さまが来てくれる?」

可愛らしい子ども(少年)の無邪気な問いから始まるのは「眠れる王子と約束の姫」。
無邪気な子どもが育つとあんな王子様に・・・いやはや。

それでは、レビュー開始です。

主人公、眠れる王子様に襲われる

葡萄色の長い髪に翡翠の瞳。輝くような象牙色の肌をしていて、小さな唇は化粧などしていない時でも、ほんのりと色付いている。

主人公のシャーロットは、幼い頃からの親友であるディアーナが、王都中に自慢したいと思う程、愛らしい容姿の少女。

伯爵令嬢であるにも関わらず、社交的な場が好きではないシャーロットは、決められた人間としか接触することのない閉じた世界で生活していたが、親友のディアーナに舞踏会に引っ張り出されることに。

そこで、人ごみを避けて応接で休もうとした彼女は、そこで眠れる美青年に出会い、唇を奪われてしまう。

眠れる王子・・・ええ、本当に眠ってます。
眠ってる相手にどうして唇を奪われてしまうのでしょう。
個人的には、見どころだと思ってます。

主人公からしたらホラーかもしれませんが。

童話のような物語

タイトルからして”眠れる森の美女” を連想させるこの作品。
始まりはところどころ童話のモチーフが散りばめられているようです。

舞踏会で迷った主人公の目の前で王子が眠る部屋の扉が音もなく開いたり。
キスを奪われて逃げるように帰宅した主人公のところに、落し物を持って王子の部下が探しにやってくるところとか。

正体がばれて(?)王宮にやってきた主人公は、再び眠れる王子に唇を奪われる。

「ええっと・・・これはいったいどういうことかな・・・キミは誰?」

眠れる王子様、お目覚め。
美しい王子に美しい少女。
うん、まさに童話の世界ですね。

何だか黒いよ王子と部下が

目覚めた王子に必要とされて、王宮に滞在し『お願い』を叶えることになった主人公シャーロット。

何だかんだと押しが強い王子様。
そしてその背後でさり気なくシャーロットが王子のお願いを聞く様、にこやかに脅しをかけてくる部下。

く、黒い・・・?

「ゴメン、私には夢遊病の気があって・・・それにたとえ眠っていても、自分が本当に欲しいものは我慢できない性質なんだ・・・。」

目覚めて早々さらりと上のような台詞を吐いていた王子様。
何かこう爽やかな笑顔の裏に欲望に忠実というか、腹黒い気配がするのは気のせいでしょうか。

気弱な主人公に抗えるとは到底思えませんが、何やら画策している様子の王子と部下’S。
果たして何を目的にしているのか?

イラストは天野ちぎりさん

今回レビューをする為に、過去読了作品を物色していて見つけたこちらの作品。
イラストは天野ちぎりさん担当でした。(購入時は気付かなかった!)
個人的に大好きなイラストレーターの方。

何故ならTL系作品で天野さんが描く登場人物は美麗かつエロい!

よくR系小説とそのイラストについて、物語ととイラストのイメージが合わないという小説の口コミを目にしますが、天野ちぎりさんが担当されると作品の良さが際立つというか。
主人公の魅力倍増、エロも倍増(え?)の相乗効果が発動されるのです。

愛らしい容姿の主人公も彫刻のように美しいとされる王子も天野さんが描かれるキャラクターを見ると納得してしまう・・・。

でも、管理人が今回の作品で一番気に入ったイラストは、王子とシャーロットが出会って間もない頃の二人の背後でさり気なくイイ顔して脅しをかけてくる部下のシーンですが。

・・・黒い笑顔っていいよね!

最初はキスばかりしていた王子とシャーロット。
やっぱり童話モチーフだからか、シャーロットも奥ゆかしいし可愛い恋愛だなぁ・・・と、ほのぼのしていましたが、やっぱりというか何というかガッツリ濃厚でした。

うん、予想以上に多かった。
個人的には、そこまで濃厚でなくても・・・いや濃厚であっても半分位で十分お腹いっぱいなんだけどと呟きたくなる位、後半はガツガツきましたよ。

ほのぼのかと思えばガッツリで、くすりと笑ってしまう部分もあれば深刻な部分も・・・いや、やっぱりガッツリべた甘か・・・。

色々な要素が入り混じり、物語の印象を言葉で表すのが難しいのですが、イラストと後半のストーリーから、がっつりべた甘な話だったという印象に落ち着きました。

前半は、ほのぼのと言いつつ、王子様キャラが嫌いな人は、むずがゆいかもしれません。
ええ、完璧な”王子様” ですから。

■ブックデータ

タイトル:眠れる王子と約束の姫
著  者  芹名 りせ
イラスト 天野 ちぎり
形   態 文庫
レーベル 乙女ジュリエットノベル
出 版 社 ハーパーコリンズ・ジャパン
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★☆☆(星3.5評価)
 ・イメージキーワード 
  「童話」「王子様」「呪い」「ブラック」「部下」「濃厚」
 ・読後の感想
  「予想以上にエロ濃厚」

【購入可能サイト】
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【余談】

レビューを書く為にデータを見ていて驚きました。
出版社が「ハーパーコリンズ・ジャパン」。
それって大人のロマンス小説系「ハーレクイン」を出している出版社ですよ。
TL系レーベルも持っているんですね。