タイトル | 侯爵様と私の攻防 | |
著 者 | 富樫聖夜 | |
イラスト | うさ銀太郎 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | ソーニャ文庫 | |
出 版 社 | イースト・プレス |
夜這いから始まる攻防戦
「なんで、なんで、貴方がこんなところにいるんですか!そして、なんでこんなことするんですか!」
マーチン伯爵家次女・アデリシアの絶叫から始まるのは「侯爵様と私の攻防」。
「なんでって
もちろん、夜這いだけど?」
容姿端麗・文武両道の若きジェイラント・マフィーネ・スタンレー侯爵に、目をつけられた主人公の運命は。
それでは、レビュー開始。
突然の夜這いと濃厚シーン
主人公のアデリシアは、ある夜突然ジェイラントに夜這いをかけられる。
え、何で?
美しく人当たりの良い姉と間違えた?
混乱し、必死に逃れようとするアデリシアを前にジェイラントは嬉々として思いを遂げてしまう。
序盤からいきなり夜這いという衝撃シーンから始まる「侯爵様と私の攻防」。
主人公と同じく頭の中が「?」になること請け合い。
何故・どうしてと言い募るアデリアに一々説明していくジェイラント。
焦りながらも侍女を呼んで大騒ぎになり既成事実になってしまうのを恐れるアデリアの心理描写がリアルだと思います。
そして、嬉々としてアデリアを籠絡していく美青年・・・うん、エロい。
夜這いから始まる物語は、生々しい濃厚シーンが多いです。
美貌の侯爵の執着と包囲網
衝撃の夜這いから一夜明けて、目を覚ましたアデリアを待っていた状況は 。
「アデリシア。お前はスタンレー侯爵と結婚することになった」
「・・・え?」
“結婚の罠”として夜這いが使われるのは、主に女性側の策略によるもので、男性が夜這いした場合は、結婚の罠ではなく肉欲の為だけに行う場合がほとんどだという”夜這い”。
何という男尊女卑ルール!
だからこそアデリアは気付いてしまう。
謀られた 。
だれがこのまま大人しく公爵と結婚などするものですか!
かくして勝気主人公の逃亡劇の始まり。
風変わりな主人公と腹黒侯爵の執着の謎
十七歳になっても社交界に一切興味を示さず、ただひたすら読書を愛するアデリシア。
若くして侯爵家を継ぎ、容姿端麗・文武両道、おまけに非常に裕福。身分も高いが物腰は柔らかでスマートで礼儀正しい・・・と、魅力に溢れ社交界で一番の注目を集め、麗しの月の貴公子とも呼ばれるジェイラント。
数多くの女性と浮名を流し、どんなに女性が望んで引き止めても最後には必ず差ってしまうことで有名な彼と社交界から遠く本の虫であるアデリシア。
この二人の接点は?
全く接点がなさそうな二人なのに、ジェイラントの並々ならぬ執着はどこから来るのか。
お話のポイントはその辺でしょうか。
あがく主人公とヒーローの腹黒い罠
王室図書館勤務の弟・ランダルと入れ替わることによって身を隠すことにしたアデリシア。
副館長である女装の麗人レナルドの助けを借りて、大好きな本を囲まれる生活を送るものの、諸悪の根元であるジェイラントが接触してきて・・・。
ジェイラントに対して双子の弟として接するスリル。
ジェイラントをライバルとして妬む美青年や婚約の噂を知っていやがらせをしてくる令嬢との厄介なやり取り。
色々な人間関係が絡み合って物語進んでいきますが、やはりこれはヒーローであるジェイラントの腹黒さと腹黒い策略と濃厚エロシーンを楽しむ物語だと思います。
腹黒く粘着質なのに格好いいって、本当トンデモなヒーローですね。
“夜這い”から始まる物語は、不愉快かと思いきや、案外抵抗なく読めたのは、ヒーローが本当に主人公が好きなのとその行動理由に納得したからでしょうか。
ああ、それは突っ走っちゃうかもね?
な事実が徐々に明かされますが、ヒーローが腹黒いのに違いはありません。
■ブックデータ
タイトル:侯爵様と私の攻防
著 者 富樫聖夜 イラスト うさ銀太郎 形 態 文庫 レーベル ソーニャ文庫 出 版 社 イースト・プレス
【管理人評価】
・満足度 ★★★★☆(腹黒粘着系好きなもので・・・。)
・イメージキーワード
「腹黒」「攻防」「策略」「強制」「結婚」「入れ替わり」「濃厚」
・読後の感想
「この腹黒さは嫌いじゃない」
【購入可能サイト】
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【余談】
“腹黒””執着”ヒーローに”夜這い”と、人によっては地雷な内容を含むこの作品。
『歪んだ愛は美しい。』がテーマな乙女系レーベルのソーニャ文庫。
その記念すべき第一弾として発表されたとのこと。
腹黒、執着・・・まさに『歪んだ愛』ですね!
まさにレーベルにぴったりな作品でした。