寡黙な騎士団長の淫靡な本能(ティアラ文庫)

タイトル寡黙な騎士団長の淫靡な本能
著  者蒼磨 奏
イラスト芦原 モカ
形  態文庫
レーベルティアラ文庫
出 版 社プランタン出版

国王が取り持つ結婚は

モントール王国国王を名づけ親に持つ主人公アイリーン・エルシュタットは、国王によって高名な騎士団長オルキス・フォーサイスとの婚約をまとめられる。

他者に決められた婚約に大人しく従う主人公と寡黙な婚約者との婚約から結婚生活を描いた「寡黙な騎士団長の淫靡な本能」。

それではレビュー開始。

他人任せな婚約

「気になる娘が居ないのならば、私のほうで相手を決めてしまうぞ」
「構いません。国王陛下にお任せします」

冒頭、国王によって主人公アイリーンとの婚約を命じられる騎士団長オルキス。
三十歳になるまで妻は要らないと言い続けていたという割には、あっさりと国王の言葉に頷くところが驚きです。

いくら主である王の勧めといって、誰でもいいんですか・・・。

そして、早々にオルキスを紹介されたアイリーン。

「異論はないな、アイリーン。」

名づけ親である国王の言葉に抵抗せずに受け入れる主人公。

何だこの二人、あっさりし過ぎじゃないですか?
TL小説的には、婚約したくないとか承諾するまでにすったもんだありそうですが・・・。

あまりにあっさり婚約まで進んだ二人ですが、面白いのはその後でした。

伝わる寡黙な騎士団長の胸の内

アイリーンがその事に気付いたのは、舞踏会で初めてオルキスと踊った時のこと。

非常に寡黙で愛想が悪い三十歳のオルキスと社交界にデビューしたての十八歳のアイリーン。

  こうして見ると、だいぶ成長した)
  緊張しているのか、愛らしい)

婚約から結婚までの流れがあまりに早く、話題にさえ困る二人が一緒にワルツを踊った際に聞こえてきたオルキスの賛辞。

けれど、オルキスの唇はぴくりとも動いておらず、仏頂面も崩れていなかった  

聞こえ続ける『声』の正体は何なのか?
アイリーンの心当たりとは  

もう萌えるしかないシチュエーション

寡黙な婚約者の胸の内、しかも自分に対する賛辞しか出ないといえば、萌えるしかないでしょう!なシチュエーション。

高名ではあるけれど、全く親しくない男性。しかも、ほとんど会話らしい会話が出来ない程の寡黙ぶり。

でも、ひたすら甘い心の内が聞こえてきたら、そりゃ不安も吹き飛びますね。

赤面しつつ聞こえてくる声からさり気なく会話を成立していくアイリーン。

もちろんオルキスは気付いていないので、色々だだ漏れで甘いです。

ひたすら甘いその理由は

もうとにかくべた甘いちゃいちゃストーリーといっていいでしょう!

その理由は・・・

1. 心の内が読めるのはオルキス相手だけ
2. 心の内が読める期間は限りがある

3. 原因が分かっており、アイリーンは出来るだけその状態にならないように抑えている

よく我慢出来るな主人公!と言いたい節制力。
読まなければ恐ろしく寡黙なオルキス相手では、気持ちが全く伝わらず、読めば読んだで心の声に対して言いたいことも言えず。

その辺のもやもやというか葛藤はこの物語を楽しむポイントですね。

安心してべた甘を楽しめるのは、無表情な外面の裏で婚約者大好き♡ なオルキスの心情は、ほぼ賛辞。
そして、心を読む対象がオルキスだけなので、心を読むといっても人の嫌な面を見ることが全くないんです。

となったら、二人がいちゃいちゃする設定でしかないですよね。

二人の間で誤解が生じたり、意外と嫉妬深いオルキスの一面が分かったり、波乱もありますが、波乱が波乱に思えない程の安定のべた甘ストーリーでした。

■ブックデータ

タイトル:寡黙な騎士団長の淫靡な本能
著  者  蒼磨 奏
イラスト 芦原 モカ
形   態 文庫
レーベル ティアラ文庫
出 版 社 プランタン出版
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★★☆(甘っ!)
 ・イメージキーワード 
  「結婚」「王命」「心の声」「べた甘」「エロ」「年の差」
 ・読後の感想
  「安心のべた甘・いちゃいちゃストーリー」

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