タイトル | 為政者の閨 野獣皇帝の終わらない蜜夜 |
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著 者 | 葛城 阿高 | |
イラスト | 周防 佑未 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベルパン | eロマンスロイヤル | |
出 版 社 | KADOKAWA / エンターブレインDMG |
男装の王の婚姻譚
突拍子もない施策を出して敢行するも一度たりとも失敗したことがなく、女性と出会えば甘い言葉で口説き、見目麗しいが城の奥深くに引きこもるマクアードル王国女王ブリジット・ヴィヴ・ザヴィアー。
彼女は、ごくごく身近な女官や高官以外の人間には国王 男性として認識されていた。
男性としての生活を謳歌するズボラで楽天的な主人公の結婚とは?
男前な主人公がデレるのを固唾を呑んで見守るような物語なのが「為政者の閨 野獣皇帝の終わらない蜜夜」。
それでは、レビュー開始。
男装の女王の優雅な生活
「おはよう、エイダ。今日も可愛いね」
主人公が男装している物語というのは何度か読んだことがあるものの、この物語の主人公程その生活を楽しんでいる人間はいないだろう。
そんな感想を持ったのが「為政者の閨 野獣皇帝の終わらない蜜夜」。
マクアドール王国国王ブリジットは、内外共にほとんど知られておらぬ男装の女王である。
マクアドール王国の王族は、十八の歳で立志式(りっししき)を行うまでは、みな総じて男の格好をして過ごす風習があり、十八を目前にして父王が重い病を煩い立志式を延期。
そして、二年後に父が亡くなり王位につくことになったブリジットは、求婚の煩わしさを避ける為、男装のまま国王として即位したという。
女性にしては長身、中性的な美貌を持つブリジットは「女」であると見抜く者もなく、また、求婚が煩わしいというズボラな理由もあってか、悲壮感もなく伸び伸びと国王としての生活を謳歌している模様。
「君が飾ってくれた花も素敵だったけど、今、私の目の前にいる『エイダ』という花の方がよっぽど素敵だと。・・・キスしても?」
ナンデスカ、この宝塚な世界。
隣国皇帝の強引な会談
男装の国王であるだけに、頑なに他国の高官と公式の場で会うことを拒み続けたブリジットは「変わり者」と称されるようになっている。
そんなブリジットと直接会談を行うように強引にねじ込んできたのが隣国・プロムグヴィスト帝国皇帝ブレス・ワイアット・ハサウェイ。
現在三十二歳にして既に在位15年。
ブリジットが経済政策を得意とするならば、彼は武力の扱いに長け、自ら戦地に赴き自国を侵略しようとする者に対して容赦のない報復を行う”冷徹で非情な皇帝”と恐れられているのだが、ブリジットの評価は”冷静な切れ者”。
そんな彼が大国である国力の差を利用して強引に組まれた会談。
「ブレスめ、そんなに私に会いたいか?図体がデカいばかりでいい年して嫁も貰えない奴が、遂に男色に目覚めたか!」
うん、可憐でもか弱くないよね、この主人公。
皇帝陛下の求婚
内心嫌々な会談も有意義な意見のやり取りで終わらせることが出来たブリジット。
ブレスのブリジットに対する興味は、彼女が思うような男色ではなく、同じ一国の王であり”同志”としての思い。そして、自分にない発想を次々と考え出すブリジットの能力を買ってのよう。
全然色気ないですね。
ところが序盤早々にしてあっさりブリジットが女性であることがばれるお約束展開。
そして届けられた書簡。
『今回、我々の国の親交と豊穣を確固たるものにすべく、ここにブリジット女王陛下と私との婚姻を提案いたします』
男装の女王の婚姻は
ここまで延々とあらすじを書いてきましたが、これ、序盤も序盤です。
婚姻を承諾するかしないかの攻防かと思いきや、あっさり受諾して婚姻成立。
ブリジットが何故こうもあっさり婚姻を承諾したのか?
・・・というのは、見どころではありません。
「おや、こんなところに子猫ちゃん。可愛いね、君、名前は?」
大国である隣国に嫁いできても、女官を口説くことをやめないブリジット。
もう、楽天家とかそういう性格じゃないような。
そう、女性らしさの欠片もない、我が道を行く主人公。
その主人公と、恋愛というよりもブリジットという人間そのものに魅力を感じて手中に収めたいと行動に移した皇帝。
この二人の結婚ってどうなるの ?
やっぱり物語の見どころはそこでしょう。
元々人間としての魅力を感じていた皇帝がブリジットに対する思いを恋愛にスライドさせる様は、ある意味想像通りなのですが。
男であることを隠していたにも関わらず、帝国の使いが驚く程あっさりと婚姻を承諾したブリジット。
だけど、宝塚な世界の人ですよ?
べたべたいちゃいちゃな話になる筈もなく。
ラブラブに・・・なるの?・・・なるのか?
ブリジットがデレることはあるのか固唾を呑んで見守る。
そんな物語でした。
収録話
巻末掲載の番外編は充実の4編。
父王の死と同時に蘇る前世の記憶と国王としての覚悟を決める「黎明」。
ブリジットの酒癖が明らかになる「酒と泪と男と女」は、官能小説モード。
ブレス以外にもブリジットに粉をかける人がいたんですね。怒れるブリジットと何だかんだで尻に敷かれてるブレスが描かれた「かって出会った嫌いな男」。
『夫』としてブレスを愛しているのか自分の気持ちが分からないブリジットの突飛な行動と暴走エロオヤジと化したブレスを描いた「自覚」。
何気に本編より番外編の方が官能小説っぽいですね。
■ブックデータ
タイトル:為政者の閨 野獣皇帝の終わらない蜜夜
著 者 葛城 阿高 イラスト 周防 佑未 形 態 文庫 レーベル eロマンスロイヤル 出 版 社 KADOKAWA / エンターブレインDMG
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(星評価3.5)
・イメージキーワード
「婚姻」「男装」「政略結婚」「ツンデレ?」「一応官能小説」
・読後の感想
「色々な予想の斜め上をいく展開だけど結構楽しめました」
【購入可能サイト】
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【余談】
こちらの作品、eロマンス文庫主催の「次世代官能小説大賞」にて金賞受賞作とのこと。
官能か・・・確かにエロシーンはたくさんあったけど、濃厚に感じなかったのは何故でしょう。
“冷徹で非情な皇帝” として恐れられているというブレスですが、全然冷徹でも非情でもないような。
そしてブリジット目線の”冷静な切れ者” ともちょっと違う気が。
何というか、ブリジットが好きでたまらない落ち着いた大人の男という印象でした。
なので激情に駆られて大波乱・・・!という展開もなく、もう本当にひたすらブリジットがどうデレるの?ラブラブになるの?と疑問を持ちつつ見守る物語。
感情が大きく揺さぶられることはないけれど、それはそれで楽しめる作品でした。
ついでに言うと、ブリジットはネット発小説にありがち設定な前世の記憶”現代日本” 持ちだったりする訳ですが、『それ、必要ないんじゃない?』 と思う位、前世絡んできません。