タイトル | 銀の王子と琥珀の姫 | |
著 者 | 姫野百合 | |
イラスト | 天野ちぎり | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | マリーローズ文庫 | |
出 版 社 | コスミック出版 |
箱入りお姫様のお嫁入り
「約束するよ」
「大人になったら、必ず、きみを迎えに来る」
可愛い子どもの頃の結婚の約束から始まるのは「銀の王子と琥珀の姫」
幼い約束が大人になったらどうなるのか・・・と思いきや、政略結婚がメインのお話でした。
ということで、レビュー開始。
イラストって大事だよね
TL小説にはイラストがつきもの。
イメージを深めてくれるものもあれば、イメージ台無し!と酷評されている作品をよく見かけます。
が、こちらの作品は確実に前者でしょう。
イラストレーター・天野ちぎりさんのイラストは、可愛くてキレイでHなシーン描写も素敵なんですよね。
ということで、イラストが天野ちぎりさんというだけで、管理人は、読む前から期待度UPです。
リアルな政略結婚物語
可愛い結婚の約束の次の瞬間には、婚礼の場面。
平和でのどかな小国ヴェントスの末の姫・エルウィンは政略により大国アクイラの王太子に嫁ぐことに。
名も知らぬ男の子との初恋を大事に抱えながらも、国の為に嫁ぐことをあっさり了承するところは、さすがお姫様。
他の政略結婚モノと比較してこの作品が凄いなと思うのは、そのリアルさ。
小国と大国の文化の違い。
例えば、古来より優秀な馬をたくさん産出しているヴェントス国王である主人公の父親は婚礼に際して優秀な名馬を何頭も持たせて送り出す。
ところが、
アクイラにはひとりで馬に乗るような、そんなはしたない女はおりません
慇懃無礼な答えに鼻白む主人公。
のびのびと穏やかで平和な小国で育った主人公が突如王太子妃として大国の王宮に投げ込まれる。
あれ、これもしかしてリアルシンデレラストーリーじゃないですか?
突如放り出されるように異国に嫁いで孤独感を覚えたり、習慣に馴染めなかったり。
そうそう、突然こんな環境に置かれたらそうなるよね、という描写がリアルだと思います。
淡白?複雑?独特なヒーロー像
TLのヒーローって、強引だったり情熱的だったりするのが普通じゃないですか。
そんな中、主人公の結婚相手であるアクイラ王太子のキャラクターは異色な気がします。
うん、淡白。
冷たいとさえ感じる程に。
まぶしいほどに輝く銀色の髪。それから、晩秋のたくさん並んだひつじ雲の隙間からのぞく空よりも、更に澄んだ美しい水色の瞳。
完璧な美貌を持つ”銀の王子”
そっけない物言いにかちんと来る主人公
別に主人公を毛嫌いしている程攻撃的ではなく、かといって歓迎しているような甘やかさもなく。
複雑という程ひねくれている訳でもない。
そんな微妙な距離感をもつヒーローは、”つかみどころがない”という言葉がぴったり。
「だって、あなた、いやなんだろう?」
初夜の床入りもあっさり主人公を寝室に残して立ち去る淡白さ。
王太子が好きになれず苛立つ主人公とちょっとひねくれた目線で距離をとる王太子。
いや、これ、ラブラブになるんですか・・・?
前半は、延々と輿入れしてからの日々がつづられますが、退屈ではありません。
Hシーンはエロいけど、全体を通してみるとあっさり描かれているような感じ。
後半、事件が起きたりするけれど、やっぱり独特の距離感というか。
不自然ではないんですけど、あまりこういう雰囲気のお話はない気がします。
やっぱりヒーローの性格がポイントなのかな。
そう、これは、政略結婚をしたやんごとない人々の恋愛模様。
リアルな政略結婚物語だと思います。
■ブックデータ
タイトル:銀の王子と琥珀の姫
著 者 姫野百合 イラスト 天野ちぎり 形 態 文庫 レーベル マリーローズ文庫 出 版 社 コスミック出版
【管理人評価】
・満足度 ★★★★☆(リアルな心情描写に引き込まれる)
・イメージキーワード
「政略結婚」「幼い頃の記憶」「王族」「エロい」
・読後の感想
「ガツガツしていないヒーローもいいな。」
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