タイトル | 黒き狩人と夜空の瞳 | |
シリーズ | サイ=チェンジリングシリーズ | |
原 題 | Slave to Sensation | |
著 者 | ナリーニ・シン | |
翻 訳 | 藤井 喜美枝 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 扶桑社BOOKSロマンス | |
出 版 社 | 扶桑社 |
SFで獣・人外系でロマンス小説
ロマンス小説で、ここまで要素が山盛りな作品ってあまりないんじゃないでしょうか。
SFで獣・人外系でロマンス小説な「黒き狩人と夜空の瞳」。
現代とは異なる世界観の説明が結構あるので、SFが苦手という人にはきついかも。
それでは、レビュー開始。
感情を排除し進化した種族
主人公のサッシャ・ダンカンは、超能力種族”サイ” であり、世界最強の組織”サイ評議会” のメンバーでもある母ニキータ・ダンカンの一人娘。
超能力種別”サイ” とは?
政財界のリーダーであり、世界に存在する3つの種族 動物的な性質を持つ変身種族”チェンジリング” とふつうの人間”ヒューマン” を圧倒し、テレパシー、予知、念動力、サイコメトリーと多岐に渡った精神的な能力を持ち、自分達を進化のはしごを一段のぼった存在と考えている。
幼いサイは<サイレンス>と呼ばれる厳格な教育プログラムによって、いかなる感情もおぼえぬよう条件付けされる。
感情ありマス
登場早々全く思い出せない夢を見て恐怖に震えている主人公サッシャ。
それを表に出すまいと必死になるのは、”欠陥” があるとばれたら<センター>に収監されてしまうから。
“監獄””更生施設”と呼ばれるその場所は、
残酷なまでに効率よく、サイの社会から弱き者をまびく役目を果たしていた。
つまり、”サイ” にとって、感情を制御できない、表に出す人間は弱者であり社会不適合の烙印を押されてしまう訳ですね。
ロボットみたいだなぁと思いつつ、あまり抵抗なく設定を受け入れられるのは、主人公の思考が感情あるものだから。
子どもの頃から、自分が正常でないと気付いていたサッシャ。
そんな不安を抱えながら、彼女は母親と一緒に”チェンジリング” とのミーティングに向かう。
したたかなチェンジリング”狩人” の思惑
「ハンター氏はチェンジリングの群れのリーダーなのだから、けっしてあなどらないようにね。彼はサイみたいにものを考えるわ。」
業務提携の場に現れたのは、ルーカス・ハンター。
二十三歳の時に豹チェンジリングの群れの<ダークリバー>を率いるアルファになってから十年の間に<ダークリバー>はサンフランシスコと周辺における支配力を強固にしていた。
感情をもたない”サイ” と感情に溢れる”チェンジリング” 。
相容れない種族の業務提携には、ルーカス側の強い思惑が隠されていた 。
惹かれあう二人と彼女のバランス
ビジネスによって、チェンジリング側との橋渡し役になった主人公のサッシャ。
相容れない種族である二人は惹かれつつも、サッシャが抱える精神崩壊の危機とチェンジリング側が抱える事件に対する怒りなど問題が山積み。
見どころは、サッシャの目を通してみる”チェンジリング” の世界ではないでしょうか。
たわむれる子豹達の可愛さったらないし、”肌でふれあう特権” や”伴侶” という独自の意識。
温かく料理上手な<ダークリバー>の治療師タムシンや強い怒りを抱えるドリアン、狼チェンジリングメンバーとのやり取り。
“サイ” であるにも関わらずふれあいに飢え、渇望しているサッシャがチェンジリングに接触していく様は不器用で可愛らしい程。
サッシャと比べて思惑を秘めつつ近づくルーカスは、何だかんだいって欲望に忠実というか余裕があるというか。
感情豊かなチェンジリングのアルファである彼の愛情深さや懐の深さ。
そんな魅力がクローズアップされた物語だと思いました。
■ブックデータ
タイトル:黒き狩人と夜空の瞳
著 者 ナリーニ・シン シリーズ サイ=チェンジリングシリーズ 形 態 文庫 レーベル 扶桑社BOOKSロマンス 出 版 社 扶桑社
【シリーズ一覧】 1. 黒き狩人と夜空の瞳 2. 冷たい瞳が燃えるとき 3. 氷の戦士と美しき狼 4. 気高き豹と炎の天使 5. 封印の獣と偽りの氷姫 6. 燃える刻印を押されて 7. 遠き記憶が輝くとき 8. 裁きの剣と氷獄の乙女 9. 藍色の瞳の女神と戯れて 10.雪の狼と紅蓮の宝玉(上・下) 11.金眼の黒狼と月下の戦姫(上・下) 以下続刊
【管理人評価】
・満足度 ★★★★☆(設定を把握するまでがちょっと面倒)
・イメージキーワード
「SF」「獣・人外」「豹」「サスペンス」「異種族」「不器用」
・読後の感想
「不器用な主人公と愛情深いヒーローのお話でした。」
【購入可能サイト】
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【余談】
“サイ=チェンジリングシリーズ” の原作表紙が格好いい!
全てヒーローの顔半分がデザインされてます。
邦訳版よりこちらの方が、シリーズの世界観にあっているような。
ただし、作品中の描写とちょっと違う気がするんですよね。
↓下の画像は、シリーズ第一作目”Slave to Sensation” の表紙でおそらくルーカスかと思われますが、
“大型獣の爪痕を思わせるギザギザの四本のすじが、にぶい金色の肌に刻まれている”
・・・微妙に違う?
でも格好いいからいいのだ!