タイトル | 情熱の炎に抱かれて | |
シリーズ | ブラック・ダガー・ブラザーフッド | |
原 題 | LOVER ETERNAL | |
著 者 | J. R. ウォード | |
翻 訳 | 安原 和見 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクショ | |
出 版 社 | 二見書房 |
衝撃の事実、衝撃の展開
一族を守る為にレッサー(殲滅者)達と戦う屈強で美しいヴァンパイア戦士たちのロマンスを描いた” ブラック・ダガー・ブラザーフッド” シリーズ。
シリーズ5作目の「情熱の炎に抱かれて」は、ヴァンパイア戦士の集団の一人、未来視能力と不思議な力を持つ腕を持つヴィシャスが主人公。
シリーズも5作目ともなると、様々な設定を把握し世界感にも慣れてくるものですが・・・「えっ?」と思わず呟きたくなるような衝撃の事実や衝撃の展開が次々と明らかに。
それでは、レビュー開始。
それは恋愛感情だったの?
ヴィシャスといえば、ヴァンパイア戦士の集団<ブラックダガー>の中でも時折未来視によって印象的な言葉を残すのが印象的な人物。
そんな彼は1作目から登場し、早々にブラックダガーの面々と馴染んだ元刑事ブッチと非情に仲が良く、彼の命を救う為に前作「闇を照らす恋人」でも重要な役割を果たしたのも記憶に新しいです。
が。
今回読み始めてあ然としたことが。
食われてみたい
最愛の連れ合い<シェラン>を持つブッチへの想い。
え、まさか親友としての愛情ではなく、恋愛相手としての愛情を向けていたの?
確かに、前作では愛情深くブッチに接しているとは思ったけれど、それはブッチの命の危機だし・・・。
そう考えていた管理人。
まさかの展開に驚きを隠せず。
303回目の誕生日に与えられるもの
対立する組織において絶対的な存在であり神のような超越した能力を持つ者として描かれた<オメガ>。
ヴァンパイアの一族にとって、その<オメガ>と対立する真逆の存在が<書の聖母>。
ヴィシャスは303回目の誕生日を目前に書の聖母に宣告されることになる。
「おまえの用意が整いましたのでね」
書の聖母に仕え戦士を助ける。
時に連れ合いである<シェラン>が人間であり、その血によって身を養うことが出来ないブラックダガーの面々に血を提供する存在として<巫女>の存在が描かれてきましたが、今回ヴィシャスに求められたのは、その<巫女>たちと交わり子を生すこと。
つまり、種馬になれということ。
当然のことながら反発するヴィシャスに書の聖母は衝撃の真実を明かす 。
明らかになる事実、払われる犠牲
“ブラック・ダガー・ブラザーフッド” シリーズ5作目にして、まだまだ驚く事実が明らかにされていきます。
ブッチへの想いに惑い、書の聖母から告げられた衝撃の事実に混乱するヴィシャスは、レッサー(殲滅者)との戦いで胸を銃で打ち抜かれ、病院に運ばれる。
そう、ヴァンパイアが人間の病院へ。
そこで今回のヒロインである外科医ジェイン・ホイットカムに出会うのですが・・・そもそもヴァンパイアに人間の治療が効くのか?
そういった点も見どころだと思います。
今回、様々な真実が明らかになる訳ですが、全体を通して共通するテーマは”犠牲” ではないかと。
様々な人間が様々な形で犠牲を払うことによって、それぞれ異なる状況に身を置くことになる。
特に、細かく心の内が描写された訳ではないですが<書の聖母>が払った犠牲とその孤独・寂しさは印象的でした。
難儀な恋愛相手としてのヒーロー
ところで<ブラックダガー>のメンバーの中でもヴィシャスは中々恋愛が難しい相手だと思います。
何故なら男であるブッチに並々ならぬ想いを抱き、壮絶な父親との過去があり、好むのは超ハードなSM。
心も身体も支配することを好むサディストですよ。
とんでもない美貌を持っていなかったら、裸足で逃げ出したくなるタイプじゃないですかね。
個人的には、よくまともな恋愛できたなこのヒーロー・・・という感想です。
■ブックデータ
タイトル:情熱の炎に抱かれて
著 者 J. R. ウォード 翻 者 安原 和見 形 態 文庫 レーベル 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション 出 版 社 二見書房
【シリーズ一覧】 1. 黒き戦士の恋人:ラス 2. 永遠なる時の恋人:レイジ 3. 運命を告げる恋人:ザディスト 4. 闇を照らす恋人:ブッチ 5. 熱の炎に抱かれて:ヴィシャス
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(星評価3.0)
・イメージキーワード
「明かされる真実」「犠牲」「決断」「SM」「未来視」
・読後の感想
「ザディアスが幸せそうで良かった!←本筋と関係ない」
【購入可能サイト】
・Amazon
情熱の炎に抱かれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
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・honto
情熱の炎に抱かれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)[紙本]
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・【ロマンス小説レビュー】黒き戦士の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
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・【ロマンス小説レビュー】闇を照らす恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
【余談】
このシリーズの作品の特徴として、ヒーロー・ヒロイン以外の描写が多く、同時進行でそれぞれの状況が変化していくことがあります。
その為、順を追ってシリーズを読んでいかないとその巻の主要人物の状況が掴みにくいところはあるかと。
今回も<巫女>の一人であるコーミア、そして読者だけが正体を知る言葉を話せないヴァンパイア戦士の訓練生ジョン、双子の兄ザディアスの妻であるベラへの想いを断ち切れない戦士のフュアリーなど、それぞれの心情が描かれています。
それだけにページ数も850ページ以上と膨大。
もう少し絞ってくれてもいいような・・・。
あまりに色々な人間の心情が描かれると、少々混乱します。
管理人が大好きなヴァンパイア戦士ザディアスの幸福そうな姿が幾人もの目を通して描写されているのは良かったですが。