タイトル | ひとときの甘い想い | |
シリーズ | ブライド・カルテット | |
原 題 | SAVOR the MOMENT | |
著 者 | ノーラ・ロバーツ | |
翻 訳 | 村上 真帆 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 扶桑社ロマンス | |
出 版 社 | 扶桑社 |
愛は恋愛だけでなく
高校の学年末のダンスパーティの準備の喧噪の中で、主人公が物思いに沈むところから始まるのが「ひとときの甘い想い」。
ブライド・カルテットシリーズ第3作目の今作は、4人の女性によって運営されているウェディングコンサルティング会社<Vowsー永遠の誓い>でいつも素晴らしいウェディングケーキを披露しているパティシエ、ローレル・マクベインが主人公。
それではレビュー開始。
主人公に刺さる棘
第一作目の主人公マックの悩みの種といえば、自分のことしか考えず娘を振り回す母親でしたが、今回序盤で早々に明かされた主人公の悩みは”お金”のこと。
両親の離婚により、経済的な事情から製菓学校に進むという夢を諦めなければならなかったローレル。
悲しみに沈む彼女に手を差し伸べたのは、まさかのあの人。
びっくりです。
そんなお金を持っていたことが(失礼)。
そして、そのお金をローレルにぽんと差し出してしまうことが。
ノーラ・ロバーツの描く世界は、ヒーロー・ヒロインの愛だけでなく、二人を取り巻く周囲の愛情が描かれるのが特徴で、物語の全ての根底に愛がある気がします。
また、今は4人団結して会社を盛り上げている4人ですが、高校で4人揃うこともなく、進路も別々。
幼い頃からべったりと思っていたので、意外でした。
高校のダンスパーティの会場は別々でも、その後にみんなで集まってガールズトークにいそしもうとする辺りは仲良しそのものなんですが、それぞれ環境も違えば目指すものも違うのだということを改めて認識させられる描写です。
依存するのではなく、個々としてきちんと立ちながらの仲良し4人組。
そうでなければ、大人になって同じ仕事を続けることなど出来ないのかもしれません。
現状を破壊する賭けに挑む
今回のヒーローは、パーカーの兄であり弁護士であるディレイニー(デル)・ブラウン。
お金持ちで漂うハンサム臭に、最初の頃から気になっていた男性。
前作でローレルが鬱屈した様子を見せていたのも頑固な兄状態のデルに対する恋愛感情からだったんですね。
うん、分かってた。
しかし、前作で妹同然のエマと恋愛関係になったジャックを俺の妹に手を出したな!といわんばかりに殴り飛ばしたデルですよ。
それが同じく妹同然のローレルに簡単になびくかな?
早々に前途多難な状況が察せられますが、序盤のお金問題も付け加えられると更にハードな状況に。
だって、デル(とパーカー)は、まるでお城のような豪邸を持つお金持ちですからね。
これは、波乱万丈でしょうか?
重ねられた物語
ウエディングカルテットシリーズ4部作の内の3作目である今回。
シリーズ物は物語が重ねられる度に、どんどん世界が深まるのが魅力です。
例えば、4人の内マックとエマの二人の結婚が決まってしまい、物寂しい気分に陥ったパーカーがローレルに愚痴をこぼしたり。
結束の固い4人組+兄達男性陣の中に、最近になって加わることになったマルコムが意外な過去と優しさを持ち合わせていたり。
朝食兼打ち合わせをする4人の結婚決定組と未定組とで微妙に分かれる肉食系女子な会話とか。
前回妹(のように思っている)エマに手を出したとしてデルに痣が出来る程殴られたジャックが、デルとローレルが恋愛関係になったと知った時のぼやきとか。
読みながらにやにやしちゃいますね。
波瀾万丈かと思いきや、予想よりも和やかに終結した今回の物語。
ヒーロー・ヒロインの恋愛よりも、それを取り巻く周囲の人間とのやり取りが魅力的な物語でした。
■ブックデータ
タイトル:ひとときの甘い想い
著 者 ノーラ・ロバーツ 翻 訳 村上 真帆 形 態 文庫 レーベル 扶桑社ロマンス 出 版 社 扶桑社
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(あっさり)
・イメージキーワード
「肉食系女子」「愛情」「親愛」「家族愛」「金銭問題」
・読後の感想
「波乱万丈かと思ったら、意外と和やかに終わったな」
【シリーズ一覧】 1. 純白の誓い 主人公:マック 2. 香しい薔薇のベッド 主人公:エマ 3. ひとときの甘い想い 主人公:ローレル 4. 幸せは永遠に 主人公:パーカー
【購入可能サイト】
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