愛と裏切りのスキャンダル(上)(下) (扶桑社ロマンス)


タイトル愛と裏切りのスキャンダル(上)
原 題Private scandals
著 者ノーラ・ロバーツ
翻 訳加藤 しをり
形  態文庫
レーベル扶桑社ロマンス
出 版 社扶桑社

華やかな世界で働く女性の戦いと恋愛

アンジェラと勝負するのだ。
カンザス出身のうぶな小娘は、野望を実現させて力をつけ、今はその腕が鳴っている。

因縁の相手との対決を前に、勇ましい物思いと共に深夜のテレビ局に乗り込んでいくシーンから始まる「愛と裏切りのスキャンダル」。

華やかなテレビの世界の裏側で、主人公ディアナが辿ってきた道は  

それではレビュー開始。

「テレビの女王」 と「理想的な隣の女の子」

冒頭の衝撃的な事件から始まる物語は、師弟関係からやがてはライバルとなっていく主人公ディアナと既に華やかな成功を収めていたアンジェラとの関係を丹念に追っていく物語でもあります。

その世界のトップに君臨する傲慢な支配者。女のいやらしさを凝縮したようなアンジェラは、まるで昼ドラの中の敵役のように典型的なキャラクター。

そして、対する主人公といえば、誠実でひたむき。同僚には健康的な中にそこはかとなく漂う色気が漂い、『男なら誰もが夢に描く、理想的な隣の女の子』と評される真逆の立ち位置。
そして、アンジェラが手元に置きたいと思う程に有能。

仕事のことばかりか、ディアナの恋愛関係まで口出しをするアンジェラの支配的な行動といい破綻していくまでの流れは、まさに王道の昼ドラマを見ているような気持ちになりますね。

主人公ディアナが、”普通の女性”というよりも、己の欲望に忠実なアンジェラに対して、あまりに清廉潔白で有能な”理想キャラ”であることも一因かもしれません。

隠された傷と周囲との関わり、そしてサスペンス

ひたむきで真っ直ぐな主人公ディアナが抱え持つ過去とその傷がもたらす恋愛への障害。

それらをどう乗り越えて成功を掴んでいくのか・・・という所も見どころかなと思うのですが、意外とその辺はあっさりな描写で感情移入しきれなかったような。

ロマンス小説のカテゴリではありますが、恋愛だけではなく主人公の周囲を取り巻く人間関係やその温かさが丁寧に描かれるのは、ノーラ・ロバーツ作品ならでは。

傷ついたディアナを包み込む男性ヒーローも”できた男”であり懐が広いなぁと思いますが、最終的に気になるのは、アンジェラとの確執でもなくヒーローとの恋愛でもなく、現在、過去、そして現在に戻って来て最後に残ったのが、冒頭の事件を引き起こしたのが誰なのか。

ロマンス小説というよりもサスペンス小説に近い物語でした。

タイトル愛と裏切りのスキャンダル (下)
原 題Private scandals
著 者ノーラ・ロバーツ
翻 訳加藤 しをり
形  態文庫
レーベル扶桑社ロマンス
出 版 社扶桑社

■ブックデータ

タイトル:愛と裏切りのスキャンダル
著  者  ノーラ・ロバーツ
翻  訳 加藤 しをり
形   態 文庫
レーベル 扶桑社ロマンス
出 版 社 扶桑社
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★☆☆(淡々と読み終えてしまった)
 ・イメージキーワード 
  「華やかな世界」「ドロドロ」「マスコミ」「ライバル」「ストーカー」
 ・読後の感想
  「アンジェラにもっと暴れてほしかった」

【購入可能サイト】
・Amazon
愛と裏切りのスキャンダル (下) (扶桑社ロマンス)
・楽天kobo
なし
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・eBookJapan
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・ハーレクインライブラリ
なし

【余談】

同じ作家さんの作品を読んでいると、ある程度その続きが読めてしまうことがあります。
ノーラ・ロバーツ作品が大好きで、一時期ひたすら読み続けた管理人からすると、この作品はある意味先が読めてしまう作品。
サスペンス箇所の誰が犯人か?というところまで予測がついてしまった為に、淡々と読み終えてしまった印象です。