四獣王の花嫁 (ラルーナ文庫)


タイトル四獣王の花嫁
著  者真宮 藍璃
イラスト駒城 ミチヲ
形  態文庫
レーベルラルーナ文庫
出 版 社株式会社シーラボ

異世界での使命を持つ主人公

『―来て。早く、来て・・・。こっちの世界に―』

主人公に届く異世界からの声。
異世界モノといえば、ある日突然飛ばされて・・・というパターンが多い中、こちらの作品は違います。

四獣王の花嫁にして国母となる為に、少年は異世界に渡る。

レビュー開始です。

瀬戸内海の小さな島にある、神社の社務所。
その一角にある六畳ほどの和室で、ひっそりと周囲に守られ暮らして来たのが、主人公の小夜(さよ)。

幼い頃から使命を聞かされていた小夜は、淡々と孤独な日々を過ごしている。

その使命とは、

現世を邪な気から守っている異世界、『鏡界』に召喚され、四獣と呼ばれる守り神に守られた四つの王国の王たちと契り、そのうちの一人を伴侶に選んで、皇帝である『麒麟』を産み落とすこと。

さらりと凄いことが書いてあります。
そうか、複数ものか・・・というより衝撃的なのは

皇帝である『麒麟』を産み落とすこと。

えっ、産むの!?

主人公が孤独な理由

異世界で定められた使命を果たして現世へと戻ってくるまで、真の自由はない

体内に『宝玉』と呼ばれる卵のようなものを宿す主人公。
それは、成人、特に男性に対して人間の情欲を煽ってしまう。
つまり、近づき過ぎると襲われそうになったり。

ひっそりと外界と隔絶した生活を送る主人公は、どこか神官のような、はたまた生贄のような。

だから、他の異世界モノと違って主人公にためらいが全くなく。
異世界に行くのも複数とするのも麒麟を生むのも、使命ですからね!

ということで、その点葛藤はありません。
世界を平穏に導く為の神事なのです

見どころは、4人の王とのやり取り

個人的には、波乱万丈・気持ちがジェットコースターのように振り回されるものが好みなのですが、この作品は全体的に和やかに物語が進んでいきます。

心優しい主人公・小夜は、自分の役割を認識して覚悟は決まっているし、4人の王も大事な花嫁として扱うし、異世界の住人達にとっては神様が光臨したのと同じく感謝感激するばかり。

その中で面白いのは、4人の王とのやり取りでしょうか。

最終的には麒麟を宿す為に1人の王を選ぶのですが、それまでは4人の王といたします。

まだ幼い朱雀国の王・キリルはまだ成人していないので対象外ではあるのですが、花嫁大好きで世話を焼きたがるところは本当に可愛い。

明るく快活なのは白銀の短髪が特徴的な白虎国の王・シン。

穏やかで優美な笑みの青龍国の王・クオン。

出会った時から小夜に対してそっけなく突き放すのは、無表情で寡黙な巨躯の玄武国の王・トウガ。

そう、他の3人の王が小夜ウエルカムなのに対して、あまりに冷たいトウガ。
それは何故なのか。

そもそも神事を行うことによって召喚される筈の小夜が、何故その前に異世界に渡ってしまったのか。
助けを求める声は誰のものなのか。

そして、4人の王の中で小夜が選ぶただ一人の王は誰なのか。

個人的には、素直に好意を寄せてくるキリルとのやり取りが一番可愛らしく癒されました。(対象外だけどね!)

■ブックデータ

タイトル:四獣王の花嫁
著  者  真宮 藍璃
イラスト 駒城 ミチヲ
形   態 文庫
レーベル ラルーナ文庫
出 版 社 株式会社シーラボ
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★☆☆(複数モノには萌えないので)
 ・イメージキーワード 
  「複数モノ」「異世界」「男性出産」
 ・読後の感想
  「ラストは予想外」

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