タイトル | 強面の純情と腹黒の初恋 | |
著 者 | 海野 幸 | |
イラスト | 木下 けい子 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | シャレード文庫 | |
出 版 社 | 二見書房 |
強面教師、逃げろ
思わずそう叫びたくなったのは「強面の純情と腹黒の初恋」。
凶悪な見かけに反して、いい人過ぎる主人公に忍び寄るのは・・・。
レビュー開始です。
爽やか新任教師の着任
随分と顔立ちの整った奴がやってきた。
主人公の数学教師・黒沼双葉(くろぬま ふたば)の心の呟きから始まる「強面の純情と腹黒の初恋」。
端整な顔に優しげな笑みを浮かべて挨拶をしたのは、梓馬俊介(あずま しゅんすけ)。
同い年である彼の新人指導を双葉が任されたことから、物語が進んでいく。
真逆な二人
ところで、序盤から語られる双葉(ふたば)の属性(?)が、もう不憫過ぎます。
詰まる話が双葉は非常に見た目の柄が悪い。
無精に伸ばした長い前髪とそこから覗く剣呑な目。
不機嫌な訳でもないのに気を抜くと勝手に寄ってしまう眉間の皺。
双葉という(可愛らしい)名前を聞いた人間が、困惑するほどの強面人間。
大学時代、サークルの新入生を甲斐甲斐しく世話を焼いていたら、
『なんか、黒沼先輩がやたら優しいんだけど・・・俺、何かされんのかな?』
ナニソノ心からの親切をげしげし踏みにじられる感じ。
どうも自分は他人に警戒されやすい容姿をしているようだ。
なんて、のん気に呟いているレベルじゃないと思うんです。
それに対して、梓馬俊介(あずま しゅんすけ)は、整った顔立ちに加え、物腰柔らかな好青年。
清潔感のある身なりに、側に寄れば甘い香りが漂い、仕事をすれば新人とは思えぬ程、堂々として余裕さえ感じさせる程。
黙っていても女性が寄って来て仕事を手伝ってもらえるような、高校時代の友人いわく”天然ジゴロ”。
美しい箸使いから育ちの良さがにじみ出るわ、お金に不自由なく育ってきたことから”欲がない男” と思われている。
・・・でもね?
W主人公の胸の内
序盤、双葉の視点から始まったこの物語。
主人公は双葉と梓馬のW主人公でした。
双葉視点、あまりに自分と対極にいる梓馬に苦手意識を持って遠ざけるかと思いきや・・・梓馬の穏やかできちんと人と向き合うような対応に、意外と和やかな関係を築いていきます。
もう序盤からところどころに語られる双葉に対する周囲の認識がもう、気の毒で仕方ないのですが、それ以上に双葉の中身がいい人過ぎてじーんとします。
いい人・・・強面だけど、めっちゃいい人だよ。
それに対して好青年な梓馬の内面が・・・。
ある意図を持って双葉に近づくのですが、『双葉逃げてー!』と心の中で叫びたくなる位黒いです。
黒い・・・。
腹黒いというよりも、悪い人。
悪意があるというよりも”たちが悪い”。
そんな厄介な男に目をつけられた強面(だけど実は誠実熱血)教師・双葉の運命は 。
見どころは、梓馬が双葉の真の姿を知ってあ然とするところと、梓馬の意図を双葉が知ったところでしょうか。
双葉が何故真実を知ったのか。
そして真実を知ってどう思ったのか。
しばらく梓馬視点のみで描かれるので、どうなの?どうなるの?とハラハラ。
そこから一気に話に引き込まれました。
収録話
表題作の「強面の純情と腹黒の初恋」とその3ヶ月後のべた甘期を描いた「三か月目の憂鬱」。
双葉と生徒の関係性が素敵過ぎて思わず自分の学生時代を振り返ってしまう「番外編SS」(卒業式の話)の3話収録。
双葉の中身はいい人なんだけど外見から理解されないギャップ属性は、管理人のツボなんですが、腹黒主人公・梓馬のキャラもなかなかですよ。
いやもう本当幸福に満ち溢れてる感じで、このカップル大好きです。
■ブックデータ
タイトル:強面の純情と腹黒の初恋
著 者 海野 幸 イラスト 木下 けい子 形 態 文庫 レーベル シャレード文庫 出 版 社 二見書房
【管理人評価】
・満足度 ★★★★★(星4.5評価)
・イメージキーワード
「教師」「ギャップ」「強面」「腹黒」
・読後の感想
「この二人のいちゃいちゃが妙に好き」
【購入可能サイト】
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【余談】
主人公2人についてばかり書きましたが、ゲイバーで登場するメンバーがそれぞれ個性的で魅力的。
ゲイカップルが2組登場しますが、これは他で作品になってるのかな?
ぜひ読んでみたいと思いました。