黒き戦士の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)


タイトル黒き戦士の恋人
シリーズブラック・ダガー・ブラザーフッド
原 題DARK LOVER
著 者J. R. ウォード
翻 訳安原 和見
形  態文庫
レーベル二見文庫 ザ・ミステリ・コレクショ
出 版 社二見書房

ヴァンパイアの事情

ヴァンパイアものといえば、”十字架が苦手””朝日に弱い””にんにくが苦手””人間の血を糧とする”というお決まりのパターンがあるのですが、独自なヴァンパイアの世界を描いた「黒き戦士の恋人 」。

自分がヴァンパイアの血を引くことを知らない主人公が直面する試練とは  

それではレビュー開始。

父親は娘を案じる

「D、正気のさたじゃないぞ」
「そんなことはない」

混み合うクラブの中で、深刻に話し合う二人のヴァンパイアのシーンから始まる「黒き戦士の恋人」。

Dことダライアスの思惑を心配するのは、Dの友人であるトールメント。

「だがな、娘がどんな思いをすると思う?ソードオフ(銃身を切り詰めたショットガン)みたいにやさしいやつが最初の相手になるんだ。心の用意ができてたってけっこうきついぞ。」

友人であるトールメントが本気で心配するのは、ダライアスが娘の為に助けを求めようとしている相手。

それは、彼らが属する兄弟団  強健な戦士の緊密な集団の仲間の一人。
血統最後の生き残りであり、地上に残る最後の純血のヴァンパイアであり王とあがめられているラスだった。

娘である主人公の危機

主人公のベス・ランドルは、<CCJ>こと<コールドウェル・クーリエ・ジャーナル>で働く取材記者。

彼女が生まれると同時に母親は亡くなり、それ以前に父親は亡くなったと聞かされていた彼女は、父親であるダライアスの存在も自分がヴァンパイアの血を半分引いていることも知らない。

ヴァンパイアは25歳の誕生日前後に”遷移”を迎える。
ハーフである彼女は、遷移を迎えずにすめば人間のまま。
ただし、遷移を迎えればヴァンパイアとして以後、ヴァンパイアの異性の血を糧にして生きなければならない。

父親であるダライアスが心配していたのは、半分人間の娘である娘が無事に乗り越えられるかどうか。
普通のヴァンパイアでさえ、亡くなることが少なくない遷移をハーフである娘が乗り越えるのは難しいと考えている為。

「あなたの血は強いから、半分人間の娘でも変化に耐えられるかもしれない」

息子たちを亡くし、愛していた女性との娘を守ろうとする彼は、遷移を乗り越える為に唯一人の生粋の血を持つラスに遷移の時の世話を頼む。

だが、彼は人間そのものを嫌い抜いていた  

人外の王と抗争

プライドが高く威圧感あるヴァンパイアの王と何も知らない主人公との遭遇。

ヴァンパイアを撲滅させようとする不老不死の”レッサー”との抗争。

レッサー達から種族を守る為に戦っている<黒き剣兄弟団>の個性的なメンバー7人。

そして、ベスに近付くラスとベスを守ろうとする熱血刑事ブッチの衝突。

エピソードは色々ありますが、遷移を巡ってのベスとラスとのやり取りが、まあエロい。
生存本能とエロが結びつくとエロさ倍増だよね、というのもあるのですが、ロマンス小説では比較的あっさり描かれるエロシーンも多め。
でも、くどくはないです。

本能的にも会った直後から惹かれあっている二人ですが、ラスには何世紀も”シェラン”(決まった連れ合いを持つ女性)として側にいた女性・マリッサがおり、ベスにも言い寄る熱血刑事・ブッチの存在があり。

そもそも大の人間嫌いであるラスとベスがうまく関係を築けるのか。
そして、ベスに遷移が起こるのか。起こるとしてら無事乗り切れるのか。

600ページを超える分厚さですが、あっという間に読み終えました。
最初の設定を飲み込むまで時間が掛かったけれど、久々に世界観に浸れるお話を読んだ気が。
シリーズものとのことなので、ぜひ全作読もうと思います。

■ブックデータ

タイトル:黒き戦士の恋人
著  者 J. R. ウォード
翻  訳 安原 和見
形   態 文庫
レーベル 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション
出 版 社 二見書房
【シリーズ一覧】
 1. 黒き戦士の恋人:ラス
 2. 永遠なる時の恋人:レイジ
 3. 運命を告げる恋人:ザディスト
 4. 闇を照らす恋人:ブッチ
 5. 熱の炎に抱かれて:ヴィシャス
【管理人評価】  
・満足度 ★★★★☆(面白い!)  
・イメージキーワード   
「ヴァンパイア」「人外」「家族愛」「抗争」「ファンタジー」  
・読後の感想   
「エロとファンタジーの割合が好み」

【購入可能サイト】
・Amazon
黒き戦士の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
・楽天kobo
なし
・Renta!
なし
・eBookJapan
なし
・honto
黒き戦士の恋人(紙本) (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

■関連レビュー

【ロマンス小説レビュー】永遠なる時の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
【ロマンス小説レビュー】運命を告げる恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
【ロマンス小説レビュー】闇を照らす恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
【ロマンス小説レビュー】情熱の炎に抱かれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

【余談】

「手裏剣」「柔術」と、出てくるネタに仕込まれる日本ネタ。
あれ、作者日本大好き・・・?と思わせる描写があります。

あと個人的に気になったのが・・・ヴァンパイアって○がないの?(あえて伏字)
さらりと書かれた一文が気になって仕方ない管理人。

だって、その後に詳しい説明ないんだもの・・・。