永遠なる時の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)


タイトル永遠なる時の恋人
シリーズブラック・ダガー・ブラザーフッド
原 題LOVER ETERNAL
著 者J. R. ウォード
翻 訳安原 和見
形  態文庫
レーベル二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション
出 版 社二見書房

夜に繰り出す美貌の吸血鬼たち

夜の町に繰り出す為に、美しいヴァンパイアの男たちが身支度を整えるシーンから始まる「永遠なる時の恋人」。

その時、主人公は自分の運命の終わりを示す不吉な一本の電話を受けていた  

“ブラック・ダガー・ブラザーフッド” シリーズ2作目は、シリーズの中で最もファンタジー色が強い気がします。

それでは、レビュー開始。

描かれ始めた様々な人間模様

前作「黒き戦士の恋人」に引き続きシリーズ2作目の今作。
主人公となる2人だけではなく、その周囲の人間達の諸事情も描かれて、物語に広がりを見せています。

特に、前作ヒロインに好意を持ち、その後ある女性といい感じになっていた元暴走刑事・ブッチ。

冒頭のシーンでは、すっかりヴァンパイアの中に溶け込んでいて今作品の主人公かと勘違いした程。

前作では、感情的に突っ走り狭量さも見せていた彼が、美しくも荒っぽい戦士たちの中で違和感なく溶け込む姿は少々意外。
しかもあんなにラブラブだったのに、いつの間にか破局寸前になっているし。

前作を読んでいる読者だけが知っている、自分の正体を知らず、戦士の名を刻んだブレスレットを身につけた少年の登場。

他のヴァンパイア”戦士”達が持つ能力、思いなどが描かれてシリーズ全体に対する期待値も上がりますね。また、ヴァンパイアの戦士たちをつけねらう殲滅者(レッサー)側も描かれ攻防も激しくなってきました。

死の予感と口がきけない少年

主人公メアリ・ルースは、白血病の再発を予感させる精密検査の必要を知らせる電話を受け、動揺する。
気を逸らそうとボランティアで参加している<自殺ホットライン>のオペレーターの仕事もあまりに身を入れすぎると休養を進められる始末。

不安を必死におさえようとする中、メアリは口が聞けない孤独な少年と出会う。

メアリと仲の良い美しい隣人ベラは、その場に遭遇して首を傾げた。

彼が何者かすぐに気がつかなかったなんて
それにいったいどうして、メアリの家の裏庭にヴァンパイアがいるの?

正体を知らないヴァンパイアの少年の通訳として、忍び寄る死に怯えるヒロインは、ヴァンパイアの世界と関わりを持つことになる。

呪いを背負ったミスター”ハリウッド”

レイジは<黒き剣兄弟団>ブラックダガーの戦士の中でも一族から”伝説の色事師” と言われる程の逸話を持つヴァンパイア。

男でも思わず見とれる程の目もくらむ美貌とどす黒い凶悪なものを裏に持つ彼は、常に女性に貪欲でブッチをあきれさせる程。

けれど、苦しい恋愛をするブッチを”運のいいやつ” と言いぽつりと呟く。

「昔からずっと思ってたんだが、ちゃんとした女と身を固めるってのはどんなものなんだろうな」

その姿を見ただけで抱かれたいと女が群がり、拒むことなく貪る男がぽつりと漏らす思いの理由は?

ブラックダガーの中で”ハリウッド” と呼ばれる程の美貌を持つ彼の背負った呪いとは?
予想外な事実に驚きます。

相変わらず濃厚シーン満載

人間であるヒロインを見た瞬間に反応するレイジ。
その行動力というか、反応が動物的というか野生的というか。

ブラックダガーシリーズで描かれる”戦士” は、誰もがムキムキでたくましい強烈な”男性らしさ” を感じされる男性ばかりですね。

その為、このシリーズのH描写は濃厚だと思います。

死の予感に怯えるヒロインとその死の匂いを嗅ぎ取りつつも強烈に引き寄せられていく美貌のヴァンパイアの恋愛は  

見どころはそこでしょう。

しかし、結末は管理人を少しもやもやさせました。
え、その解決方法でいいの?

レイジにかけられた呪いに対してヒロインが受け入れたことに対して

それは・・それはつまり※※ってことじゃないの?※※とレイジとは※※が違うんだからつまりは※※ってことで・・・エー、抵抗ないの!?

・・・あえて伏字で書かせていただきました。
実際に読んで※※の中の言葉をあてはめて下さい。

紡がれる次の恋愛物語への序章

シリーズものは、一つ一つの作品がそれぞれ独立した物語となり、途中の作品から読んでも違和感なく入り込めるものが<ロマンス小説>の中には多いと思います。

こちらの <ック・ダガー・ブラザーフッド>シリーズも1作目と2作目である作品は、どちらから読んでみても(かろうじて)話に入ることは可能だと思います。

が。
それ以降は刊行順に読むのが無難かと。

というのも、今回の物語後半で次のヒーロー・ヒロインであるザディアスとヴァンパイア貴族のベラとの出会い。
そしてベラに降りかかる事件が描かれているのです。

これを読み飛ばして次作「運命を告げる恋人」を読むなんて有り得ない!
そう叫びたくなる程、重要なエピソードですのでぜひ順番を守って読まれるのが良いかと。

“傷跡を負い、魂を失った者” ザディアスとベラの恋愛は、恐らくこのシリーズの中で最も管理人が好きな話でもあります。

巻が進むごとに様々な登場人物達の事情や環境が描かれ、魅力を増すシリーズだと感じました。

■ブックデータ

タイトル:永遠なる時の恋人
著  者  J. R. ウォード
原  題  LOVER ETERNAL
形   態 文庫
レーベル 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション
出 版 社 二見書房
【シリーズ一覧】
 1. 黒き戦士の恋人:ラス
 2. 永遠なる時の恋人:レイジ
 3. 運命を告げる恋人:ザディスト
 4. 闇を照らす恋人:ブッチ
 5. 熱の炎に抱かれて:ヴィシャス
【管理人評価】  
・満足度 ★★★☆☆(星評価3.0)  
・イメージキーワード   
「ヴァンパイア」「獣・人外」「HOT」「ファンタジー」  
・読後の感想   
「それって抵抗ないんだヒロイン・・・」

【購入可能サイト】
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永遠なる時の恋人 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)[紙本]

【余談】

「ヴァンパイア」そして「呪い」の内容といいロマンス小説でもありファンタジー小説でもある作品。

ロマンス小説は好きだけどファンタジーは嫌いという人は結構いる気がするので、人を選ぶ作品かもしれません。

“血を吸うの人間ではなく、同族の異性の血”
“ヴァンパイアの中でも一際優れた逞しい戦士”

は普通のヴァンパイア達より一回りも大きな体格を持つ威容の男たちの恋愛はファンタジーであっても優しくない。
まさに「HOT」と表現したくなるような野生的で激しい恋愛物語です。