タイトル | 置き去り姫と黎明の騎士王 | |
著 者 | 小出 みき | |
イラスト | ことね 壱花 | |
形 態 | 文庫 | |
レーベル | 蜜猫文庫 | |
出 版 社 | 竹書房 |
落城の姫君
反乱により今にも城が落ちようとしている中の逃亡シーンから始まる「置き去り姫と黎明の騎士王」。
一人置き去りにされることになったお姫様と天使の名を持つ<死神>と呼ばれた男の歪んだ関係から始まる物語。
それでは、レビュー開始。
置き去りというか見放されたというか
・・・おまえは時間稼ぎをなさい
暴虐王と呼ばれ諸侯から畏怖される主人公の父・ゴッフレードを追い詰め、敗走させた謎の騎士<死神>(モルテ)。
陥落寸前のキアーヴェ王国の都・メルヴェント。
その<死神>に追い詰められて今にも落とされようとしている城の地下通路での逃亡劇の中、主人公の姫・リジィアは母親によって階段から突き落とされる。
いきなり強烈なシーンから始まった「置き去り姫と黎明の騎士王」。
石造りの階段から突き落とされて背中から落ちたら・・・下手したら死にますよ。
石床に叩きつけられてうめくことも出来ないリジィアは、そこで<死神>アンジェロ・フォルトゥナートと邂逅する。
主人公が憎まれる理由
なんと、そっくりではないか!
汚泥のごときその黒髪。
血溜まりのような赤い瞳。
まさしくあの悪鬼と同じだ・・・!
<死神>アンジェロが出会ってすぐにそう言い放つ程、暴虐王と呼ばれる父とそっくりな色を持って生まれてきたリジィア。
母親に疎まれるのも、他の弟妹と違い、リジィアが唯一母親が嫌う父親と似た容姿で生まれてきたから。
そして、アンジェロにとっては、正統である彼の父から王位を奪い取った簒奪者の娘。
母親の仇ともいうべき憎き男を連想させる色合いを持つ娘である。
抗うな。人質として使い物にならぬのなら、せめて俺を愉しませろ
家族に惜しまれることもなく、また、情報も持たぬリジィアに怒りと苛立ちをぶつけるアンジェロは、憎い男と同じ色を持ちながらも面影は異なるリジィアの美しさに彼女を陵辱する。
無垢な少女と傲慢な王
文中で時々”貴婦人” と称されるリジィアですが、実際に受ける印象は”令嬢””お姫様”。
暴虐な王である父親と娘に対して全く愛情をもたぬ母親と比較して、汚れのない少女のような印象です。
それに対して、アンジェロは幼い頃に父親から王位を簒奪され母親をも亡くし、憎しみを抱え苦労の中から今や王位を取り戻そうとしている戦士。
“王子” というより苛烈な彼は、”王” という言葉が似合うイメージです。
イラストにもの申す
電子書籍でR系小説を読むと、データが重くなるせいか設定が面倒なのかイラストが省かれていることが多いです。
が、今回の作品では表紙だけでなくイラストが全て挿入されています。
普段、あまりイラストを重視しない管理人ですが、今回のイラストにはちょっと違和感が。
確かに文中には、胸が豊満だと書かれていますが、豊満すぎる胸を持った色気溢れる主人公のイラストは、どこか控えめで清廉な管理人の中の主人公イメージと齟齬があり、(若造でもないくせに )と自分を振り返る20代後半(30代近い)アンジェロが若造、もとい少年に見える・・・。
あと・・・あとですね。
前半イラストほぼヤッてる(失礼)最中の絵ばっかり。
確かにベッドシーン多いですが!
延々と続くと何かこう・・・引きました。
あまりに連続なので、読んだ後、もう全部そんなイラストな気がしたのですが、実際にはそれ以外のイラストもあります。
↑
改めて確認した
物語の落ち着く先は
家族以外の侍女や騎士から愛される心優しい姫君である主人公と、憎い男を連想する色だと言いながらも面影はないとその美しさに耽溺するヒーロー。
いや、もうこれラブラブいちゃいちゃになるしかないじゃないですか・・・な物語ですが、見どころは二人のいちゃいちゃを堪能しつつ、主人公を置いて去った母親や弟妹の行方、そしてアンジェロが無事王位を取り戻せるのか。
いわば敵同士といって近い関係の二人が、どのような幸せな形に落ち着くのかを見守るお話かと思います。
■ブックデータ
タイトル: 置き去り姫と黎明の騎士王
著 者 小出 みき イラスト ことね 壱花 形 態 文庫 レーベル 蜜猫文庫 出 版 社 竹書房
【管理人評価】
・満足度 ★★★☆☆(星2.5評価)
・イメージキーワード
「親子断絶」「無垢」「敵同士」「濃厚」
・読後の感想
「挿入イラストがない方が、世界観に浸れるかも」
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