肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる (ヴァニラ文庫)

目覚めると素っ裸で男性とベッドにいた。

酒の席での過ちとしてよく描かれるシーンから始まる「肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる」。

「どんなに男に飢えてもこいつだけは”ない”」

よりによって女性社員にそう評される”お近付きになりたくない” 相手とベッドインしてしまった主人公の運命は。

それでは、レビュー開始。

小野屋鈴（おのやすず）が働くのはとある税理士法人の関西オフィス。
税理士の税務補助を行っている。

ふわふわにウェーブさせたローズブラウンの髪、膝上二十センチのチューリップカットのセクシーミニスカスーツ。

スラリと伸びた美脚を見せつけるようにブランド物のハイヒールを華麗に履きこなした鈴を見て、男性社員は鼻の下を伸ばし、女性社員は面白くなさそうな顔をして挨拶もしないという環境。

鈴の目的は単純明快。

女の人生は男で決まる。幸せになりたければ、それなりの男と結婚することだ。

そんな肉食系女子・鈴の一夜の過ち。
彼女は、自分は幸福を掴めるのか？

鈴が過ちを犯した相手は城ヶ崎京悟（じょうがさきけいご）三十歳。
鈴が働く税理士法人で公認会計士兼、税理士をしている男。

かなり仕事が出来るにも関わらず、彼がもてないのには理由が。
目を完全に覆うほど長く垂らした前髪とださい丸眼鏡。
醸し出す雰囲気はもっさりを通り越してどんより。
ただし、その口から出てくる言葉は、丁寧な毒舌の嵐。

女性社員全員から童貞と思われている程、もてない彼は、過ちを起こす夜、偶然バーで出会った鈴との会話も刺々しく、決して鈴を良い目で見ていなかったようなのですが。

「優しいですね。やっぱり好きです。付き合ってください」

一夜の後の豹変振りは、一体何事？とばかりの熱烈アプローチ。
はたして一体何が彼の心を動かしたのか？

まさかのダサ男と一夜の過ちを犯してしまった主人公。
そして、そのもっさい男に熱烈アプローチされるとなると、気持ち悪・・・ｹﾞﾎｺﾞﾎ、ちょっとぞっとする話な気がしないでもないのですが、これが結構楽しめる。

鈴目線の思考がコミカルなんですね。

母親のようになりたくないという深刻な思いを抱えつつ、混乱した時に思わず心の中で呼びかける言葉が『お母ちゃん』。

冒頭の京悟に対する周囲の評価としての描写

巷では、童貞を三十年守り通せば魔法使いへの道が切り開けると、（略

肉食と言われる外見や強がりの裏に隠された純情だったり、京悟の強引さに振り回されるというか、いいように転がされちゃってるところとか。

強気な女の見せる、隙が何とも可愛いかったり。

京悟の暴走ぶりやドヤ顔で恋愛理論を語る姿も印象的。

肉食女と言われる主人公のどこか憎めない人の良さにニヤニヤしてしまう。
そんな物語でした。

タイトル:肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる

著　 者　 槇原まき
イラスト　壱也
形　  態　文庫
レーベル　ヴァニラ文庫
出 版 社　ハーパーコリンズ・ ジャパン

【管理人評価】
　・満足度　★★★★☆（星4.0評価）
　・イメージキーワード 
　　「一夜の過ち」「ギャップ」「肉食系」「社会人」「エロ濃厚」
　・読後の感想
　　「よくある設定だけど濃いキャラ設定で楽しめる」

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