とりかえ・ばや(10) (フラワーコミックスα)


タイトルとりかえ・ばや(10)
著  者さいとうちほ
形  態コミック
レーベルフラワーコミックスα
出 版 社小学館

いやもう何か面白い

日本の古典文学「とりかへばや物語」をベースにした物語「とりかえ・ばや」。
先日(2016年10月)、最新刊の10巻が刊行されましたが、これを読んで管理人は震えました・・・。

やだも何コレ、凄い面白いんですけど!

巻を重ねて、10冊目。
中だるみするどころか、益々ノリに乗ってるというか、面白さが増してきたようで。

ということで、シリーズ半ばの現在ですが、シリーズレビュー開始です。

古典「とりかへばや物語」といえば

いきなり、作品から話が逸れますが、昔からライトノベル(少女小説)読みだった管理人にとって「とりかへばや物語」といえば、氷室冴子さんが書いた小説「ざ・ちぇんじ」が思い浮かびます。

タイトルざ・ちえんじ 前編―新釈とりかえばや物語 (1)
著  者氷室 冴子
イラスト峯村 良子
形  態文庫
レーベルコバルト文庫
出 版 社集英社

※昔のライトノベル(少女小説)は、装丁・イラストは、あくまでもイラストレーターさんが描いていて、漫画家がイラストを付けることはなかった・・・って今の人知らないだろうなぁ。

今では現代風にアレンジされた日本の古典文学は珍しくもないですが、それまでは少女マンガや小説の題材とされても”素材のまま” に近く、どこか古めかしい印象の作品ばかり。

氷室冴子さんが平安時代の物語をより現代っぽくした物語「なんて素敵にジャパネスク」を書くのに、手習い代わりに「とりかへばや物語」をベースに書いてみた・・・というのが「ざ・ちぇんじ」。

これ、管理人は非常に楽しく読みました。

それまで堅苦しいイメージしかなく、しかも非常に忠実に描かれていた(描かれないと顰蹙を買うような風潮があった)平安時代を現代風にアレンジするという作風は、大ヒット。
「なんて素敵にジャパネスク」はコミック化もされて、非常に人気があった記憶があります。

うんうん、「ざ・ちぇんじ」も「なんて素敵にジャパネスク」も管理人の子ども時代のライトノベル史に残る作品でして。

タイトル月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!
著  者氷室 冴子
イラスト今 市子
形  態文庫
レーベルコバルト文庫
出 版 社集英社

※今小説「ざ・ちぇんじ」を電子書籍で読まれたい方は「月の輝く夜に」との合本が出ていますよ。

だから「ざ・ちぇんじ」と同じく古典「とりかへばや物語」をベースにしたという「とりかえ・ばや」は、管理人の中では”二番煎じ” 的な感覚で、それ程入り込めないかなと思っていました。

が。

うん、10巻にしてどっぷりはまり込みました。

入れ替わりのスリル

とりかえたやのぉ・・・

そう平安貴族である男がぼやくところから始まる「とりかえ・ばや」。
彼の元に生まれた二人の子ども。
東と西の奥方が同時に生んだのは、長じて双子のようにそっくりな顔に育つ。
才気溌剌とした姫君と楽を好み人見知り激しい若君  

本来の性別と逆であれば、これほど素晴らしい成長はないといえる彼らに、父親は「とりかえばや(=取り替えたい)」とぼやく。

都まで届くその評判に、二人は入れ替わり世間を欺くことになる  

男だけど心は限りなく女に近く、女なのに心は限りなく男に近い。
そんなテーマは、30年以上も前「ざ・ちぇんじ」が刊行された時よりも現代の方が時代に合っているように思えます。

昔はBLさえ、ほぼないに等しかったものなぁ・・・。
性の多様性に関して、現在はとても大らかに、そして受容されていますよね。

本当は女なのに、弟の振りをして宮仕えしちゃうわ、結婚話が持ち上がるわ、同じく顔が良いと評判の男にライバル視されるわ、次から次へと起こる出来事は、わくわくハラハラせずにはいられません。

予想以上に絵が合ってる

実は私、あまりこの作家さんの絵が好きではなく、たくさん出されている少女マンガも読んでいません。
何かストーリー含めてこう華やか過ぎるというか、とんがってるというか、単純に管理人の好みから外れているという。

いつも花が散るような華やかなドレスの世界を描いているイメージだったので、日本の古典文学をベースにした物語・・・合うの?(失礼)というのが第一印象だったのですが。

あれ、予想以上に馴染んでる。

華やかな主人公や東宮などとは別に、父親や母親、そして東宮の女御である梅壷の女御。
あれ、こんなに上手に平安顔を描く人、他にいた?という位少女マンガな絵と平安顔がマッチしてるんですよ。

日本の古典文学って・・・。

ちなみに管理人にとって、日本の古典文学ってあんまりいいイメージではないです。
高校時代『源氏物語なんて、ただのエロ小説じゃん!』なんて言い放っていた人間でして。

何かこう、日本の古典文学全体に対して、じめじめ・ドロドロとした陰湿な印象があったのです。

今回のこの作品も結婚にまつわるごたごたやら、女性としての主人公が陥った危機など、「うわぁ・・・ドロドロ」という昼ドラを見るような気持ちにもなったのですが。

入れ替わっていたのを本来の状態に戻し始める7巻~。
ドロドロ状態が9巻で一件落着し、新しい境遇で活躍しだす10巻。

いやもう作家の方の筆がノリに乗ってると言いますか!
新たな東宮など政ごとに関わる陰謀や女としての恋愛、そして正体を見破ろうとする輩などなど、やだナニコレ面白い・・・。

10巻にして非常に面白くなってきました。

という訳で、今ではすっかりはまってしまったこのシリーズ。
まだまだ、続きそうですが続刊を楽しみにしたいと思います。

■ブックデータ

タイトル:とりかえ・ばや
著  者  さいとうちほ
形   態 コミック
レーベル フラワーコミックスα
出 版 社 小学館
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★★☆(面白い!)
 ・イメージキーワード 
  「入れ替わり」「平安貴族」「陰謀」「恋愛」「結婚」「身分差」
 ・読後の感想
  「ベテラン作家の底力を見ました」

【購入可能サイト】
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【余談】

TLか少女マンガか?

レビュー記事をするのに、<TLコミック>にするか<少女マンガ>にするかカテゴリ分けにするか非常に迷いましたが、ここは、TLコミック分類としました。

何故か?

幼い頃の描写から14歳の元服で物語が始まるので少女マンガにいれるべきかとも思いましたが・・・。

タイトルとりかえ・ばや(1)
著  者さいとうちほ
形  態コミック
レーベルフラワーコミックスα
出 版 社小学館

結婚からの一連のゴタゴタは、ちょいアダルトネタというか、何というか・・・ごにょごにょ。
昼ドラ風味≠少女マンガではないな・・・とういことで、TLコミックとしました。