悪魔な妃の危険な婚姻 (ルルル文庫)


タイトル悪魔な妃の危険な婚姻
著 者宮野 美嘉
イラスト結賀さとる
レーベルルルル文庫
出 版 社小学館
形  態文庫

二十七番目のお姫様の輿入れ

大国アストラン帝国には、三十五人の姫がいる。

三十五人っていくらなんでも多過ぎやしないか・・・?
出だしの一文で思わず突っ込みを入れたのは「悪魔な妃の危険な婚姻」。

たとえ離縁されて追い返されても、そなたの居場所はアストランにはない

そう断言された二十七皇女・ユーリアの秘密とは?

それでは、レビュー開始。

悪魔に呪われたお姫様の婚姻

『嫌だね、お前は俺の獲物だ。一生呪ってやるよ』

他国であるブランデンに嫁ぐ道中、明かされるのは主人公・ユーリアの秘密。

それは十七年前、悪魔のファラードゥウィアに呪われて生まれてきたこと。
生まれると同時に母が命を落とし、そうしてユーリアは生まれながらの怪力を身につけていた。

建物はビスケットと大差なく、人はプディングのように脆弱

幼い頃、恋をしたユーリアが抱きついた相手に起こった惨劇はかなり笑えない・・・。

あれ?これ、旦那様危険じゃないですか?
“危険な婚姻” って、ユーリアの夫となる男性の生命の危機ってこと!?

純粋な主人公の嫁ぎ先

悪魔に呪われて怪力を持った主人公のユーリア。
やさぐれることなく凄く性格が良いです。
人を傷つけることを恐れて引きこもって生活していたユーリアの心を慰めたのは、宮殿の書斎に数え切れないほどあった数々の童話。

特に好んだのは、ブランデン王国の童話。
童話の中に出てくるブランデンは妖精のいる国、そして元々妖精信仰の国。
愛らしい挿絵の書かれた童話を読みたくて、異国のブランデンの言葉を覚えた程。

あれ、主人公の嫁ぎ先ってブランデンだよね?
もしかして、政略結婚の嫁ぎ先としては、趣味からして中々良いのでは?

国力差と高圧な夫

十日もの馬車での旅(悪魔同行)を終え、ブランデン王国にたどり着いたユーリア。

ちなみに”三十五人の姫がいる” ことからも分かるように、アストランは大陸の中央に位置する大国で、宮殿も一つの街ほどもある巨大さ。
他国を圧倒する文化と技術の最先端にある帝国では、大きい=価値があるという考え。

対する嫁ぎ先のブランデンは、アストランと比較すると領土も狭くさほど発展していない新興国。

これは、ギャップがあるだろうなぁ・・・と思いきや、町並みを眺めて、全てが小さく可愛らしくまるで小人の国に迷い込んだようだと思ったり、ブランデン城を眺めて何て可愛らしいお城だろうと思ったり、幼い頃から読んだ御伽噺を見てうっとりしている主人公。

「私・・・この国が好きだと思う」

主人公視点、めっちゃ幸福そうなんですけど。
と、思いきや・・・。

「あの・・・このお部屋はとても質素ですね」

温かくて、素朴で、落ち着く部屋。
そんな素敵な部屋を用意してくれたことが嬉しくて、侍女に伝えようとした言葉が上の通り。

あー・・・学んだ異国の言葉が残念な形で間違ってるパターンですか・・・。
一気に侍女を敵に回した主人公に、前途多難のフラグが立ったのを感じますよ。

更に、その不安を倍増させる婚礼のシーン。

“異常に目付きが悪くて顔が怖い” “変に威圧感がある” 黒髪の男性ジオン・ドグラノール・ブランデン。

彼は、威嚇するようにユーリアを見下ろすと、こう継げた。

「女  というものに対して俺は常々思っている」
「お前達は己が害獣であることを理解するべきだ」

食い違いすれ違う二人の結婚は

「俺は害獣と馴れ合うつもりなど毛頭ない」
「あ、ありがとうございます・・・どうか私と馴れ合わないでください」

女嫌いの王・ジオンの発言に、触れ合わなくてもいい=傷つけずに済むと喜色を浮かべて答えるユーリア。
見事に食い違ってます。

「やりやがったな!この馬鹿王!」

自分の国の王に堂々と無礼な口をきく側近のノトも気になりますが、

「いっそお前を妃に出来れば、どれだけ楽だったかしれん」

そう女嫌いのジオンに言われる清楚な美貌を有する侍女・リリルルーラ。
ユーリアに陰湿な嫌がらせをするマリーロジェンナの思惑。

そしてユーリアが傷つけた初恋の相手との再会。

色々ありますが、見どころはやっぱり必死になって悪魔の呪い=怪力を隠そうとするユーリアと言葉の齟齬から生まれる勘違いでしょうか。

自分以外の人間を非力で繊細な生き物と考え気遣うユーリアと周囲の害意とのかみ合わなさが笑えるというか。

主人公、本当可愛いです。

悪魔ファラードゥウィアの呪いは解けるのか?
何かとユーリアに優しい侍女・リリルルーラとジオンとの関係は?
ジオンの姉・マリーロジェンナの真の目的は?
そして、ジオンとユーリアは、仲睦まじい夫婦になれるのか?

管理人好みのくすりと笑えて、ほのぼのする。
そんなお話でした。

■ブックデータ

タイトル:悪魔な妃の危険な婚姻
著  者  宮野 美嘉
イラスト 結賀さとる
形   態 文庫
レーベル ルルル文庫
出 版 社 小学館
【管理人評価】
 ・満足度 ★★★★☆(結構好み)
 ・イメージキーワード 
  「呪い」「政略結婚」「食い違い」「すれ違い」「可愛い」「ほのぼの」
 ・読後の感想
  「小動物系なお姫様が可愛いお話でした」

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