恋獄の獣に愛されて (ガッシュ文庫)


タイトル恋獄の獣に愛されて
シリーズ恋獄の獣
著  者吉田 珠姫
イラスト相下 猛
形  態文庫
レーベルガッシュ文庫
出 版 社海王社

孤独な主人公と孤独な鬼との恋愛譚

幼い頃、主人公の久保田(くぼた)あさぎは神社の境内で恐ろしい光景を見た  

気弱で存在感のない主人公が堕ちたのは、魑魅魍魎の跋扈する鬼の世界。
覚醒した知性を持った鬼との恋愛譚「煉獄の獣に愛されて」。

今回は、シリーズ全2冊のシリーズレビューです。

家族の中の主人公の立ち位置

ときどき、自分の姿はまわりの人に見えていないのんではないかと疑うことはある

そんな十七歳の主人公の心の呟きから始まる「煉獄の獣に愛されて」。

今回、辛口レビューとなるのですが、管理人がどうしても馴染めなかったのは、主人公とその家族の関係。

母と父、そして小六の妹・さくらと高一の弟・しおん。
5人の家族の中で、主人公・あさぎの存在感の薄さは異様。

べたべたと仲の良い妹と弟。
(兄の存在は軽く無視)

母親は、あさぎがまだ使っていないマーガリンをさっさと冷蔵庫にしまい、夕飯のメニューの内容は妹の鶴の一声でハンバーグ。

ハンバーグといえば4個入りのハンバーグで5人家族の内、あさぎだけが別のものを食べることになるのは、いつの間にか暗黙の了解に。
いや、別のものを食べるというより家でごはんを食べないのが慣習。

・・・いや、ないでしょう。

家族のご飯を作る母親が、何でもないのにただセット数が中途半端であるという理由から、家族の一人の食事だけを作らない。
その理由が分からない。

長男である彼の存在を無視する家族。
これが、管理人には受け入れられなかった。

家族から弾き出される疎外感や孤独

主人公の気持ちは分かっても、何故そのような状況になるのかが分からない。
これ、話のネタバレになっちゃいますが、大筋とは微妙にずれるので書いちゃいます。

家族がそこまで自然に主人公を無視する理由・・・なかった。
理由なかったんです。

え、なんで?

恐ろしい位の存在感のなさは、異界に関する何か理由があると思っていたんですよ。

それが、ただの家族の甘え・・・だと・・・?

例えば母親だけが、どうしても主人公を愛せないとか、妹・弟のどちらかが理由があって激しく長男である彼に嫉妬している。

そんな理由があれば納得したのですが、5人家族の内、4人が何の疑問もなく主人公を虐げていたという状況。
もうそこで嫌悪感が拭えず。

高校でも生徒会長をしている彼の名前を同じクラスの人間たちでさえ名前を知らないだろうと嘯く。
いやいや、そこまで存在感の薄い人間、生徒会長になれないと思うから。
いくら何でも主人公の存在感のなさと扱いがおかしいでしょう。
ただ、主人公が現実世界に未練なく異界に飛び込むだけの設定?。
そう呟きたくなる酷さでした。

知性ある鬼の王と陰鬱な世界

17歳になり、ある日突然異界に渡ってしまった主人公が出会うのはソードという名前の知性ある鬼。
幼い頃あさぎが餓鬼に群がられている彼を助ける為に日本刀を投げ渡した相手でもあり。

「あさぎ。おまえたちは、『貴種』だ。俺たちに触れると、・・・穢れる」

再会して初めて言葉を交わした彼の口から語られるのは、悲惨な異界の世界の理。
そして、切望するような彼の思い。

うーん、管理人がどうしてもこの物語に入り込めないのは、全体を流れる陰鬱な雰囲気でしょうか。

餓鬼だらけの世界で知性を持ってしまった鬼・ソードと孤独な主人公の出会い。
それは、見方によってはロマンチックなのかもしれません。

が、汚れた世界に落とされ集まって暮らす人間達(女性達)の描写や、女が存在しない鬼の性衝動に関する描写。
陰鬱な世界描写と相まって、ちょこちょこ嫌悪感を催すのです。

家族の描写と陰鬱な世界観。
それらが相まって、管理人の評価は低くなっています。

この作品は、全2冊のシリーズもの。

主人公が異界に堕ちて、家族と本音をぶつけ決別するのが「煉獄の獣に愛されて」。
異界を選んだ主人公とソードと心も身体も繋げあう「恋獄の獣との愛の日々」。

タイトル恋獄の獣との愛の日々
シリーズ恋獄の獣
著  者吉田 珠姫
イラスト相下 猛
形  態文庫
レーベルガッシュ文庫
出 版 社海王社

うーん・・・エロ描写もやっぱり苦手。

アンハッピーなエンドでもないのに、陰鬱な世界観。
主人公二人の関係も恋愛というより共依存のような・・・。
読後感は、もやもやします。

■ブックデータ

タイトル:恋獄の獣に愛されて
著  者  吉田 珠姫
イラスト 相下 猛
形   態 文庫
レーベル ガッシュ文庫
出 版 社 海王社
【管理人評価】
 ・満足度 ★☆☆☆☆(星1.5評価)
 ・イメージキーワード 
  「無視」「異世界」「鬼」「嫌悪」「生臭い」
 ・読後の感想
  「家族の描写があまりに酷くて引いた・・・。」

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