Don’t Worry Mama(ビーボーイノベルズ)


タイトルDon’t Worry Mama
シリーズDon’t Worry Mama
著  者木原 音瀬
イラスト志水 ゆき
形  態文庫
レーベルビーボーイノベルズ
出 版 社リブレ出版

あれ?これBL?

甘さのかけらもない話の始まりに首を傾げつつ読み進めたならば・・・。
おお・・・これはかなり・・・新しいジャンルなんじゃないですか?

色々複雑怪奇な面持ちになったのは「Don’t Worry Mama」。

それでは、レビュー開始。

漁船の中から始まる物語

天気はいいのに漁船はひどく揺れた。

いきなり生臭い船室の中、主人公・東山裕一(ひがしやま ゆういち)が、のんびり世間話をするところから始まる「Don’t Worry Mama」。

仕事で島に向かう理由などが明かされる中、強烈な存在感を放つのは、裕一と同行する上司の今蔵隆(いまくら たかし)。

いやもう本当強烈。

誰もが認める小さな巨漢・・・いわゆるデブ。
容姿も最悪で性格も悪い。
仕事をすればミスが多く、やる気もないばかりか部下に尻拭いをさせるわ、自分には優しい癖に他人の失敗には厳しいとか。
しかもマザコン。

漁船の中で居合わせた人間と和やかに会話していた主人公に対して、早速その場の雰囲気を壊すようなことを言い放つ。

ちなみに主人公の裕一は二十五歳。上司の今蔵は三十歳です。
能力関係なく年功序列により上司になっちゃった状態の今蔵さん、超マザコンなところといい喋り方といい甘やかされた小学生にしか見えず。

ナニコノ会社員の悲哀溢れたストーリー・・・。

衝撃の事件勃発です

製薬会社に勤める主人公の裕一とその上司今蔵の目的は、とある無人島である効能の野草を島で採取すること。

日帰りの予定が、迎えの船が来ないというトラブルに見舞われる。
携帯電話の電池も途中で切れてしまう、仕方なく野宿することになった二人。

遅くとも数日で来るかと思われた迎えは、いつまで経ってもやって来なかった  

これでもかという不幸の連鎖により、二人の窮状は全く周囲に認識されていなかった!

上司、最低です

まさかのサバイバルモノですか!?
驚きつつ読み進めていくんですが、本当今蔵さん最低です。

人は危機的な状況に陥った時にその本性が現れると言いますが、今蔵さんに限っては物語の始まりから安定の最低人間っぷり。

ちなみに裕一は、”委員長気質”。

人を纏める、そのリーダー的存在になるのは好きだし、率先してみんなの嫌がる雑用もこなした。クラスの苛めも見逃さなかった。

優等生か・・・と、思いきや

『よく兄ちゃんみたいなのが社会でまともにやっていけるよな』

と、弟がため息をつくほど実は、短気で口が悪い人間。
最低最悪な今蔵の態度にぶち切れ、どうなるこのサバイバル生活・・・!?

・・・あれ?これBLだよね?

主人公のサバイバル力

主人公、何だかんだいって頼れる生存能力に溢れた男前ゲイです。
でも先の見えない環境に、正真正銘最低な上司・今蔵と残された訳です。

サバイバル力に溢れた主人公(ゲイ)。
甘やかされてどう考えても生き残れなさそうな上司・今蔵。

・・・え、まさか?

まさかのまさか、相手はこの最低最悪おでぶな今蔵さんなんですか!?
つり橋効果というか、生命の危機に瀕した際の種の保存行動とか、そんな話?

こんなに萌えない設定があっていいのか。

序盤の展開から物語を予想して愕然とした管理人。
どんなに萌えなくても、恐ろしい予感がしても最後まで読み進めますよ。
うん、読み始めたら一気に最後まで。

そして最後まで読み進めたならば・・・。

あれ?意外と普通のべた甘BLな話になってる?
最後のショートストーリーまで読むと普通のBL本を読み終えた気持ちになるから、不思議。

ちなみにがっつりエロシーンあります。
あるけど、これは・・・どうかな、人によっては拒否反応ありそう。

収録話

帰還し、ラブラブな関係になってからの今蔵視点の「PRESENT」。
ええ、本当、何であの話の序盤からこういうラブラブいちゃいちゃBL話に落ち着くんだろう・・・。

裕一の弟である東山修司(ひがしやま しゅうじ)視点のショートストーリー「夏休み番外編 弟の受難」。

あれ、裕一って一応”委員長” 気質なんだよね?

修司の兄、裕一は自他ともに認めるゲイで暴君だ。

男前な裕一に虐げられる弟・修司の悲哀溢れるストーリーです。

弟・・・いい人だ。

実家で共に住んでいた頃、ゴキブリ並みに虐げられていた修司

マテマテ、これのどこが委員長気質・・・。
思わず突っ込みを入れつつ、まあそんな性格じゃなければ無人島でのサバイバル生活を生き残れなかっただろうなぁ。

頑張れ、弟。

■ブックデータ

タイトル: Don’t Worry Mama
著  者  木原 音瀬
イラスト 志水 ゆき
形   態 文庫
レーベル ビーボーイノベルズ
出 版 社 リブレ出版
【シリーズ一覧】
 1. Don’t Worry Mama
 2. 脱がない男 (上・下)
 3. 男の花道
【管理人評価】  
・満足度 ★★★☆☆(まさかの読後感)  
・イメージキーワード   
「サバイバル」「会社員」「無人島」「浦島」「マザコン」  
・読後の感想   
「こんなにも最低最悪な受けがまさか(略)」

【購入可能サイト】
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【余談】

Don’t Worry Mamaは、主人公が異なる形でシリーズ化されています。
「脱がない男」は、身体コンプレックス有な登場人物が出てくるので、もしかしてコンプレックス繋がりなシリーズなのかな?
シリーズの他の作品については、いつかレビュー記事を書く予定ですが、かなり独自路線なBL作品であるのは確かです。